掲載日:2010年01月04日 バイク用品インプレッション
今やバイク用防寒アイテムの定番となった感のあるグリップヒーター。各社から工夫を凝らしたさまざまな商品が販売されているので、既に使用中という方も多いのではないだろうか。ところが、このグリップヒーターの普及につれて数多く発生するようになったトラブルが、いわゆる「バッテリーあがり」である。グリップヒーターの消費電力は、製品や設定温度によって異なるものの50ワットを超える場合もある。もともと発電量に余裕がないバイクや、ジェネレーターの回転数が上がらない市街地走行が多い場合、グリップヒーターの使用によって不足した電力はバッテリーから持ち出しとなり、その状態が長く続くとバッテリーがあがってしまうというわけだ。
今回ご紹介するワイズギアの「グリップヒーター2」は、このような問題に対処するためバッテリー電圧監視システムを搭載したのが特長だ。電圧が規定レベルを下回ると電源供給を自動制御し、グリップヒーターの連続使用が原因のバッテリーあがりを未然に防ぐ、いわば安全装置が内蔵されているのだ。今回のテストに使用した車両はヤマハのマジェスティC。このモデルはアクセサリー用の電源がプレワイヤリング(あらかじめ配線)されているので配線自体は簡単だ。苦労するとすればカウルの着脱と既存グリップの取り外し作業ぐらいだろう。
設置作業を終え、早速テスト走行に臨んだ。スペック上は最大28ワットと省電力設計ながら、最新のステンレス板箔式ヒーターを採用しているため速熱性に優れ、1キロも走らないうちから十分な温かさがグローブを通して伝わってきた。最終的には素手で触っていられないぐらいの温度に達するので、発熱量は十分だと言えるだろう。また、1ボタン式のコントローラーの使い勝手も非常に良い。電子式で5段階に温度調節が可能なうえ、3灯式LEDパネルの点灯パターンによって設定温度、ヒーター作動状態、バッテリー状態をモニターできる。テストのためエンジンを始動せずにメインスイッチをONのまま放置したところ、バッテリー電圧が11.5ボルトまで降下した段階でグリップヒーターのスイッチは休止状態となり、しばらく走行して電圧が上がると自動的にオンとなった。走行中は12ボルト前後の電圧でオン・オフがきめ細かく制御されているようで、これであればバッテリーあがりの可能性は格段に減ることだろう。残念ながら適合車種は、アクセサリー用の電源がプレワイヤリングされたヤマハ各車、および別売のワイヤーリード/ブラケットを接続することによって電源が確保できるモデルのみとのことだが、バイクの仕様が分かれば他にも流用できる車種は数多いと思われる。グリップヒーターを既に設置している場合でも、バッテリーへの負担が多いと感じるのであればリプレイス用として検討する価値は十分にあるだろう。
グリップヒーター本体やサブハーネスのほか、コントローラーや専用マウント、グリップエンドキャップなどを同梱。DIY設置も十分可能だ。
作業性は良くはないが、マジェスティCならここまで外装を外せば十分に作業可能。プレワイヤリングされているので配線作業は簡単だ。
多機能の3LEDインジケーター付コントロールスイッチは専用のマウントで使いやすい位置にスッキリと設置可能。作動状態の視認性も良い。
グリップ自体は細かいローレットとスリットを組み合わせたヤマハらしいデザイン。軽く握ってもグリップは良好でスポーティなフィーリングだ。
コントローラーのプッシュスイッチで5段階に温度調節可能。電源オンで最大出力からスタートするのも使い勝手が良い。
12ボルト台前半の電圧になると細かくオンオフを繰り返してバッテリーを保護する。写真は休止状態で、電圧が上がれば再びヒーターが稼動する。
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