掲載日:2013年02月22日 バイク用品インプレッション
撮影・文/山下 剛
安全性を考えれば、ヘルメットはフルフェイスタイプが抜きん出る。しかし、特にかぶりっぱなしの長時間となると、窮屈さを感じてしまうのも事実。そうしたもどかしさを解消してくれるのが、チンガードをフリップアップすることができるシステムヘルメットだ。ヨーロッパではここ数年で急速に普及しており、日本メーカーでもショウエイが「ネオテック」をリリースしている。
ネオテックはフリップアップ、サンバイザー、風切り音軽減帽体、バックル式アゴ紐というトレンドをすべて採り入れた、いわば“全部入り”ヘルメットだ。
さて、システムヘルメットはいくつかのメーカーが発売しているが、ショウエイならではといえるのがチンガードの堅牢さだ。他メーカーの中には、シールドに樹脂パーツを貼りつけただけのようなチンガードも見られるが、プレミアムヘルメットとして世界に名立たるショウエイが作るシステムヘルメットは、チンガードにしっかりとしたプロテクション性が設けられている。
それは重量増というデメリットがあるにはあるが、安全性には代えられない。かぶってみると、フルフェイスに比べれば重量を感じるが、重量配分のバランスがいいのか、手に持ったときよりは重さを感じない。肌に触れる内装部分もさらっとしていて、このあたりはもうショウエイならばお手の物といったところ。
街乗りやツーリングでの利便性は、ジェットタイプと同じだ。コンビニに立ち寄るときも、チンガードをフリップアップすれば脱がずに済むし、そのまま缶コーヒーも飲める。仲間との会話するときも声がストレートに聞こえるから、「ええっ? なになに?」なんてこともない。
R75規制の撤廃により、帽体設計の自由度が上がった効果も大きい。空気抵抗を減らして高速走行時の安定性が高まったおかげで、首が振られずに済むから疲労も減る。少なくなった風切り音も、疲労軽減に役立っている。おそらく一日中、ずっと高速道路を走るような、遠方へのツーリングの移動において、これはかなりの効果を発揮するはずだ。
もうひとつ、特徴的な装備であるサンバイザー。これも非常に便利だ。快晴の日ならサンバイザーを出しっぱなしにしていれば、スモークシールド同様の効果だ。日陰やトンネルなどでも視界は確保できる明るさはあるし、照明のないトンネルなどの場合はサッとサンバイザーを上げれば、視界を確保できる。
ツーリングや街乗りがメインで、安全性もしっかりと確保したいというライダーは、迷わず手にとってほしい。そんなヘルメットだ。
チンガードを下げてフルフェイス状態になったネオテックは、顎下までもしっかりとガード。内部には金属パーツが採用されており、堅牢性はフルフェイスと同等。高い安全性を確保している。
左側面、シールドのやや後方に設けられたレバーを操作することで、サンバイザーの開閉ができる。レバーを上方へ押し上げるとサンバイザーが出る仕組み。レバータッチはちょうどいい硬さだ。
チンガード正面に設けられた赤いレバーを押すと、ロックが解除されてフリップアップ可能。デザインのアクセントになっているだけでなく、事故の際に第三者が操作する場合でもわかりやすい。
風洞実験設備での度重なるテストにより、高速走行時の安定性と風切り音を効果的に軽減する形状が求められた帽体。シルエットをクールに見せる効果もあり、ネオテックのアイコンにもなる。
アゴ紐の固定はバックル式となっており、すばやい着脱が可能。ロックを解除するプッシュボタンはやはり赤く、第三者が脱がせやすい設計。バックルは安全性と耐久性に優れるステンレス製。
シールドの着脱が容易なのはショウエイの美点。レバーを下げればシールドロックが外れる仕組みで、密閉性も高い。またシールドはピンロックフォグフリーシートにも対応し、曇り対策も万全。
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