掲載日:2012年10月26日 バイク用品インプレッション
撮影・文/山下 剛
ヘルメットに求められるものは、まずは安全性だ。つぎに求められるのは快適さをはじめとした機能性、そしてカッコよさだろう。人が「カッコいい」と思うモノには、必然的なほどに機能性が満ちているもので、そのあたりは自分の勘や本能を信じていい。
話がそれた。元に戻そう。世界に認められたヘルメットメーカー・SHOEIでは、安全性、機能性、デザインの美しさを兼ね備えたヘルメットを「プレミアム・ヘルメット」として位置づけている。今回紹介する「QWEST BLOODFLOW(クエスト・ブラッドフロー)も、もちろんプレミアム・ヘルメットとしてラインナップされる商品だ。
ベースモデルとなるクエストは、高い静粛性を誇るモデルで、北米を中心に、ヘルメットやウェアなどバイク用品の評価を発信しているWebサイト「webBikeWorld」が主催するコンテストで「ヘルメット・オブ・ザ・イヤー」を受賞している真価を持っている。
さて、そんなクエストを被ってバイクを走らせてみると、特徴のひとつである静粛性は一般道路でもしっかりと体感できる。Q.R.S.A.システムと名づけられたシールドを下ろすと「カシッ!」とした音とともに、ヘルメット内部の空気が変わる。密閉性が高まるせいだ。同時に風切音がすっと消える。いつも乗っているバイクのエンジン音が変わる。まるで商用車から高級セダンに乗り換えたような錯覚すら感じるほどだ。
SHOEIヘルメットの美点は、高い透過性で歪みがなく、良好な視界を確保するシールドの完成度の高さにもあるだろう。シールドの開閉に視界がまったく変化しない。こう書いてしまうと当たり前のように思えるかもしれないが、これはSHOEIプレミアム・ヘルメットだからこそ得られる視界だ。
密閉性は高いが、ベンチレーションシステムの完成度も高いため、息苦しさや窮屈さは感じない。さらにシールドの曇りもほぼ発生しない。それでも低温時や雨天時にはシールド内側の曇りが起きるが、そんなときは標準装備されるピンロック・フォグフリー・シールドを装着することで曇りを防げる。
ツーリングから街乗りまで、長時間に及ぶ走行も快適に過ごせ、なおかつ高い安全性を持つ。それを考えるとこの価格は安いし、シンプルかつ大胆で飽きのこないグラフィックであるブラッドフローなら、どんなバイクでもいかなるシチュエーションもライディングを存分に堪能できるだろう。
もっとも一般的なDリング式を採用。適切な位置でしっかりとアゴ紐を固定することができる。Dリングには第三者がヘルメットを脱がせやすいよう、明るい赤のリボンがつけられている。
チンガード部に大きく設けられたエアインテークから、大量のフレッシュエアを取り込み、ヘルメット内部の温度をクールダウンする。長時間ライドでも集中力を保てる秘訣のひとつだ。
二重シールドとすることで防曇を実現するピンロック・フォグフリー・シールドが標準でついてくる。低温時や雨天時に効果抜群で、良好な視界を確保してくれる。ツーリングの必需品だ。
Q.R.S.A.システムは、シールドが下がる動きと、押しつける動きを持つ可変軸を採用。シールドを閉めた状態での気密性を高める。さらにシールドの着脱は素早く簡単に行えるのがうれしい。
帽体は3サイズ展開ながら、4サイズの内装システムにより、さらにフィット感を高めることが可能。内装は肌触りもよく、着脱も簡単。チークパッドには眼鏡用のスリットが設けられている。
同社独自の風洞実験装置でのテストを繰り返すことにより、効率化されたフォルム。静粛性と高速走行時の安定性を高め、ライダーの疲労と負担を軽減することで安全性を高める。
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