掲載日:2011年09月09日 バイク用品インプレッション
撮影・文/野岸 泰之
ツーリングの際、休憩や給油の相談などで同行者とコミュニケーションを取ったり、タンデム時のパッセンジャーと会話をするのに便利なのが、バイク用のインカム。最近では通信方式にBluetoothを使うなど、デジタル製品が目立ってきた。しかし高機能化が進むデジタルグッズは、ともすれば高価格になりがちだ。今回紹介するTANAXの『パワーヘルメットコムMR-424』は、その対極に位置するような製品といえる。つまり、手ごろな価格、明快な機能、そしてアナログ無線、というのが特徴なのだ。
機能は2台1セットになった本体の間で通話するのみというシンプルなもの。だから操作もボリュームつまみ兼用のスイッチをひねるだけ、と超カンタンでわかりやすい。周波数はFM400MHz帯を使用、いわゆるアナログの特定小電力(特小)無線である。よく見かけるハンディトランシーバー型の特小無線は出力が10mWタイプで、規格上通話は3分間で1度切れてしまう。しかしこのパワーヘルメットコムは1mWタイプとすることで、途切れのない電話のような相互連続通話を実現している。出力は小さくても、通話距離は最大で約150m、通話可能速度域も120km/h以下と、堂々たるスペックだ。電源は単3電池2本、どこでも入手できるし、これで連続約11時間の通話が可能だ。それに加えて完全防水ではないものの、防雨構造を採用しているというから、インカムとしての実力は十分といえるだろう。
さらに、アナログならではのメリットもある。デジタルの場合は通信状態が悪くなると、通話がプッツリ切れてしまうが、アナログだと雑音混じりでも相手の声が聞こえるのだ。テレビでワンセグだと受信状態が悪いと画面が止まってしまうのに対し、アナログだとノイズまじりでも何とか視聴できた、という状態と似ている。ノイズの入り方で電波状況の良し悪しが走りながら確認できる、というのもアナログにしかできない芸当といえる。
大きく無骨な本体と、長く伸びるアンテナ。質実剛健かつメカニカルな外観は「いかにも無線、やってます」という自己主張があり、好きな人にはグッとくるデザインでもある。何よりも、シンプルで気軽に使えるのは大きな魅力。これからインカムを導入しよう、と考えている人には、ぜひ検討してみてほしい一品だ。
電源は単3電池のため、万一ツーリング先で電池が切れても、コンビニなどで簡単に入手できる。充電池は使用できないのが惜しい。電池室のフタはネジ止めで閉められる安心設計。
本体とヘルメットの固定は「デュアルロック」という面ファスナーを使用。よくある布状の柔らかいタイプではなく、ブロックをはめ込むようにガッチリと噛み合うので、グラつきの不安は全くない。
単3電池2本が収まる本体は大きめで、長いアンテナが目を引く。A、Bと書かれた2台1セットで、マイク、スピーカーのコードは一体式となっている。もちろん調整用のスポンジなども付属。
長さのあるアンテナは、本体との接合部で可動する仕組み。前後、左右に動くので、ヘルメットやパッセンジャーに当たらないよう、調節可能。動きはカッチリ節度があってグラつかない。
スピーカーはスポンジのない薄型。コード長が決まっており、ヘルメット内側左耳に取り付ける。丸型のマイクには硬めのスポンジがあらかじめ装着されていて、風切り音の軽減に役立つ。
電池室の内部に1、2と書かれた小さなスイッチがあり、2つのチャンネルを切り替えることができる。万一混信がひどい時や、仲間が別のペアでもう1セットを使用するときなどに便利な機能だ。
価格/42,000円(税込)
問い合わせ先/TANAX(TEL/(04)7150-2450 )
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!