SHOEI VFX-W

掲載日:2010年08月23日 バイク用品インプレッション    

バイク用品インプレッション

世界のトップライダーを魅了したスポーツギア
モトクロスヘルメットVFX-Wがついに日本上陸

SHOEIのXR-1100に引き続き、今回はモトクロスヘルメット「VFX-W」をテストした。前回ご紹介した通り、国内安全基準の改正により海外市場向けに生産していた国産ヘルメットを日本市場で販売することが可能となった。VFX-Wもそのひとつである。伸びやかで躍動感のある一体成形の帽体デザインはこれまでの国内ラインナップには存在しなかったもので、このヘルメットの最もキャッチーな要素となっている。しかし、それだけがこのモデルの魅力ではあるまい。ようやく我々も手にすることができるようになったSHOEIモトクロスヘルメットの旗艦モデルの実力をじっくりと味わってみることにした。

箱から出し、VFX-Wを手にした瞬間ちょっと戸惑ってしまった。複雑な曲線を多用した帽体はやや大柄に見えるのだが、恐ろしく軽いのだ。見た目とのギャップが大きすぎて思わず手が止まってしまった。手元のハカリで重量を計測してみると、バイザーとゴーグルをセットした状態でも約1.6キログラムしかない。早速テストのために走り出すと、この軽さがより際立ってきた。長いバイザーや突き出たチンバーを持つモトクロス用ヘルメットは、後方確認などで頭を振るとそれに追従し切れずにオツリがくることが多いが、VFX-Wにはそれが無い。快適でありながらもフィット感が高い内装と相まって、まるでヘルメットが頭に吸い付いているかのようだ。また、オフロード系ヘルメットとしては空力特性が異例に良いということも確認できた。大排気量デュアルパーパスモデルに乗り高速道路を100kmほど走ってみたのだが、バイザーの先端に目標物を捉えておきさえすれば、高速でもヘルメットのポジションは極めて安定している。前回ご紹介したオンロードモデルXR-1100同様、シェル後部下端をフィン形状とすることでヘルメット後方の気流を制御しているほか、実戦テストを重ねて完成させたというV-430スリークバイザーの空気抵抗の少なさが窺える。本来は泥はねなどから視界を守るためのパーツだが、不用意に顎を上げないという基本さえ押さえておけば、このバイザーは林道ツーリングなどでも強力な武器になるに違いない。さらに、優秀なベンチレーションもこのモデルの魅力のひとつ。オフロードでの過酷な使用状況を考慮して別体パーツを使用していないにもかかわらず、アイポート上端のインテークから吸入された空気が頭頂部や後頭部のアウトレットから盛大に排出されていく。吸放湿性能を持つ新素材“HYGRA”を採用した内装と相まって、走り出すと肌に密着したチークパッド周辺がスッとドライになっていくのが実感できるほどだ。

VFX-Wはモトクロスという過酷なスポーツのために用意された完全なる“ギア”だ。SHOEIの最高峰、AIM+構造を採用した帽体や緊急時のヘルメット取り外しを容易にするE.Q.R.S.(Emergency Quick Release System)なども競技者の安全を守るために採用されたスペックと言えるだろう。しかし、その性能を公道や林道で味わうのも悪くない。そう思えるほどこのヘルメットは一般ライダーにもフレンドリーだと感じた。

SHOEI VFX-W

複雑かつ伸びやかな外観を実現した帽体。決してデザインのためだけのものではなく、フィンやリブの一つ一つに機能的な意味がある。

一体成形のエアロフォルム帽体

複雑かつ伸びやかな外観を実現した帽体。決してデザインのためだけのものではなく、フィンやリブの一つ一つに機能的な意味がある。

アグレッシブなデザインのノーズカバーは金属メッシュの内側に泥や埃の侵入を防ぐフィルターを持つ。スペースも十分で息苦しさも皆無。

機能的なノーズカバー

アグレッシブなデザインのノーズカバーは金属メッシュの内側に泥や埃の侵入を防ぐフィルターを持つ。スペースも十分で息苦しさも皆無。

使用環境を考慮し、別体パーツを排除したベンチレーション。帽体の複雑なデザインによって発生する負圧を利用して効果的に機能する。

ベンチレーションはシェルと一体

使用環境を考慮し、別体パーツを排除したベンチレーション。帽体の複雑なデザインによって発生する負圧を利用して効果的に機能する。

泥はねなどから視界を守るためのV-430スリークバイザー。空力特性にも優れ、好みや使用状況に応じて角度を微調整できる。

新開発V-430スリークバイザー

泥はねなどから視界を守るためのV-430スリークバイザー。空力特性にも優れ、好みや使用状況に応じて角度を微調整できる。

帽体後部の複雑な形状はゴーグルを確実にホールドするためのものでもある。緩めにセットしてもゴーグルがずれることはまずない。

ゴーグルをホールドするデザイン

帽体後部の複雑な形状はゴーグルを確実にホールドするためのものでもある。緩めにセットしてもゴーグルがずれることはまずない。

吸放湿性能を持つ新素材“HYGRA”を採用した内装。帽体下端は空力特性とネックアウトレットの排出効率を追求した形状である。

帽体後部も空力と換気性能を追求

吸放湿性能を持つ新素材“HYGRA”を採用した内装。帽体下端は空力特性とネックアウトレットの排出効率を追求した形状である。

SHOEI VFX-W

価格/45,150円

問合せ先/SHOEI

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