掲載日:2018年12月06日 試乗インプレ・レビュー
写真/徳永 茂 取材・文/青木タカオ
車体はガソリン車のPCXを踏襲しているので、サイズ感や足着き性に違いはないものの、パールグレアホワイトの車体にキャンディブルーがアクセントとして随所に使われ、先進性やクリーンな印象を強調している。
電動車なのでマフラーがなく、65mm延長されたスイングアームが剥き出しに。モーターは左側のスイングアームに内蔵され、減速ギヤを介してリアホイールを駆動する。ナンバープレートホルダーやフェンダーが、左側のスイングアームから伸びているのもPCXエレクトリックならではだ。
車体重量はガソリン車のPCX(130kg)やPCXハイブリッド(135kg)より重い144kgとなった。その数値を予め知っているからか、押し引きやセンタースタンドを掛けるときに若干ながら手応えを感じた。
スマートキーを持っていれば、メインスイッチノブのロックが解除されるのはPCXのガソリン車やハイブリッドと同じ。ハンドル右にあるスイッチ(ガソリン車ならエンジンストップボタンとして使われる)をRUNにするとREADYのインジケーターがつき走行モードとなるが、当然ながら音は一切しない。
電動らしくスロットルレスポンスに優れ、加速がいい。ドーンと出ていくのではなく、あくまでもスムーズにジェントルなダッシュ。最高速はガソリンエンジン車に軍配が上がるものの、一般道では上限となる制限速度60km/hにはあっという間に達するから都心を走るには不足はなさそうだ。
ゆったりとしたライディングポジションで、乗り心地の良さもPCXならでは。65mm伸びたホイールベースと取付位置を後方にし寝かせてセットしたリアサスペンションの影響か、車体の動きはより落ち着いていて、普段スクーターに乗り慣れていない人も扱いやすいだろう。観光地でのレンタル、市街地でのビジネスユースに最適といえる。
試乗後は充電方法を見せてもらった。方法は2つあって、まず1つ目が車体に内蔵するプラグを使って、バッテリーを搭載したままおこなうやり方。PCXエレクトリックは車体側プラグに約2mのコードを持ち、給油口と同じところに収納されている。それを外部電源(100Vコンセント対応)と接続するだけ。容量ゼロから満充電まで、バッテリー2つでおよそ6時間。充電状態はスピードメーターのインジケーターで確認できる。
もう1つが、バッテリーを車体から取り外しての充電方法だ。脱着は新開発ロックプレートの前後の回転によって簡単にできるが、1個あたり約10kgとずっしりと重い。外したバッテリーは、オプションの専用充電器を使ってチャージする。バッテリー容量ゼロから満充電までに要する時間は、1つで約4時間ほどだ。
充電方法が2つあるのはユーザーにはありがたい。ビルやマンションならバッテリーを室内で充電できるし、オフィスや戸建てのガレージに置いておくなら車載のままチャージすればいい。
今回PCXエレクトリックは法人向けのリース販売でスタートしたが、今後どのくらい普及していくか注視していきたいところだ。たとえすぐに結果が出なくとも、こういった一歩先を行く技術を実用化していくホンダには称賛を贈りたい。現段階で「ガソリン車の方が速い」とか「航続距離が長い」と比較ばかりしていては、技術革新などおこらないのだから。
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