
掲載日:2018年02月01日 試乗インプレ・レビュー
取材・写真・文/野岸“ねぎ”泰之
外観でまず目を引くのが、グラマラスなボディラインだ。低い位置に据えられたヘッドライトから、跳ね上がったように見えるテール周りまで、直線と曲線をうまく組み合わせて流麗なボリューム感を持たせている。その姿はまるで獲物を狙う野生動物のよう。
大きく張り出したシュラウドやレーサーライクなセパレートシートとアンダーカウル、デュアルテールエンドマフラーの採用など、まさにストリートファイターと呼ぶにふさわしい、戦闘的なスタイルを与えられている。リアフェンダーがやけに長く、ここだけがちょっと野暮ったいイメージなのが惜しいが、通勤などにも使うなど実用面を重視するなら、それもまたアリかもしれない。
ヘッドライトとポジションランプ、ナンバープレートランプにはLEDを採用。どうせならテールランプやウインカーにもLEDを採用してほしいところだが、とりあえず昼間の街中でもフロントがよく目立つところは安全面で評価に値する。
同じクラスのミッション車であるホンダGROM、カワサキZ125PROがともに12インチホイールを採用してミニモト的なサイズとなっているのに対し、GSX-S125 ABSのホイールは17インチで、250ccクラスに迫る車格を有している。その分、装備重量は133kgとライバルよりも重めだが、車体がとてもスリムなこともあり、取り回しに苦労することはない。
エンジンの始動はスタートボタンをワンプッシュするだけ。ボタンを押すと一定時間スターターモーターが回転し、始動を認識するとモーターが止まる「スズキイージースタートシステム」を採用しているため。従来のようにボタンを押し続ける必要がないので便利だ。エンジンは単気筒124ccの水冷DOHC4バルブで高回転までよく回る。アイドリングでアクセルをブリッピングしてみても、1万1,500回転のレッドゾーン付近までストレスなく吹け上がり、さすがはGSXの名を冠したスポーツバイクだと実感させられる。
シートに座ると、ハンドルとの位置が近く、ライディングポジションはとてもコンパクトな印象を受ける。最高出力は11kW〈15PS〉/10,000rpmとあって、走りはとてもパワフルだ。ただ、そのパワーを存分に引き出して走るためには常時6,000回転以上をキープする必要がある。街中でストレスなく走るには、6,000~8,000回転あたりがちょうどいい。6速ミッションを採用していることもあって頻繁にギアチェンジが必要で、その分慌ただしくはあるが、回転数をピタッと合わせて力強く走れるのは、マニュアルミッション車ならではの楽しみだ。
リアのサスペンションはリンク式の本格的なタイプだし、ブレーキも前後ペタルタイプディスクを採用して制動力も頼もしい。ABSを装備しているので、万が一の際の安心感も大きい。そのためワインディングなどではスポーツライクな走りも堪能できる実力を持っている。8,000~10,000回転付近も使うとキビキビとした走りが楽しめるが、うなりをあげて頑張るエンジン音を聞いていると「原付2種だし、そんなにガムシャラに飛ばさなくてもいいかな」という気分にもなる。
ちなみにシートの座面自体は広めだが、走っているうちに身体が前方に寄りがちなので、お尻の位置を意識して乗るといいだろう。また、車体はニーグリップをすると内股気味になるんじゃないか、というぐらいスリム。走行中にメーターパネルを見るには、首ごと視線を落とす必要があるなど、普通二輪クラスに比べると、勝手が違う面もある。しかし、これらはオーナーになればすぐに慣れるだろう。
ツーリングペースなら250ccクラスに十分付いて行けるし、ここ一番という時にはスポーティな走りも可能、という懐の広さを持っているこのマシン。通勤・通学の足として使っても、ストレスのない走りで毎日が楽しくなるはず。GSX-S125 ABSはミッション付きバイクの入門用としてはもちろん、セカンドバイクとしても魅力的な1台となるだろう。
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