

掲載日:2013年07月10日 試乗インプレ・レビュー
取材・写真・文/河合宏介
ズーマーXに搭載される空冷の110ccエンジンは、最大出力や最大トルクの数値こそ比較的小さいが、低回転から最大値を発生するよう調整されている。つまり、低中速トルクが太い特性があるのだ。具体的に言えば、信号が青に変わってからのゼロスタートが得意なスクーターといえる。同エンジンのDio110と比べると、加速性能は大幅に向上していて、エンジン味付けでこれほど変わるものかと正直驚いた。実走では、上位モデルの125ccスクーターの加速にも付いていけるダッシュ力があった。低中速でのアクセル操作にリニアに反応するダイレクトな走行感覚は実に心地よいが、その反面、高回転域は苦手だ。時速80キロまでは、よどみなく加速するが、その以上の速度に達するには、少々時間がかかった。それでも実用には充分な走行性能であることは間違いない。
前輪には、制動性能に優れたディスクブレーキが装備されている。それに加えて、左のブレーキレバー(後輪ブレーキ)を握るだけで、前輪にもほどよく制動力が配分されるホンダ独自の「コンビブレーキ」が装備されている。実際に後輪ブレーキを握っても、前輪ブレーキが効いている感じがないほど自然なフィーリングなので好感が持てる。それでいてロックしにくく明らかに短い距離で止まれるので、初心者からベテランまで、雨の日でも安心してブレーキをかけられるだろう。また、足回りもしっかりしている。前後12インチのアルミホイールに幅広のチューブレスタイヤを履いて、120mmストロークの倒立フロントフォークで支えているため、どの速度域で路面の継ぎ目を走っても、鉄道の線路を斜めに横断しても、ハンドルを取られたりタイヤが滑ったりすることなく安定して走ることができた。
都市部とその周辺を115キロ走行したら、燃料計の針が赤い給油ラインに触れるか触れないかあたりを指した。そこで給油したら、およそ2.5リットル入ったので、リッターおよそ46キロ走行したことになる。燃料タンクの容量は4.5リットルなので、もう少し欲しいと感じるかもしれないが、計算では満タンでおよそ200キロ走ることができるから充分な容量ではないだろうか。二人乗りも快適な、スタイリッシュな楽しい原付コミューターの誕生を歓迎したい。
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