

掲載日:2012年09月19日 試乗インプレ・レビュー
取材・写真・文/河合 宏介
SYMの原付モデルは、これまでに「シティコム.125」や「T1」をお届けしているが、今回紹介するRV125iは、SYMの125ccクラスで唯一の水冷エンジンを搭載したモデルである。スクータータイプのRVシリーズは、125ccの他にボディサイズが同じ200ccモデルと、専用設計の250ccがラインナップされている。
RV125iは、原付スクーターとしては大きなボディサイズだが、搭載される水冷の4サイクルエンジンは9.5kW(13ps)の最高出力を発揮し、250ccクラスと肩を並べる実力を秘めたモデルである。原付の優れた経済性と、250ccクラスに匹敵する快適なクルーザーとして、T1登場前までは、SYMのフラッグシップモデルでもあった。そんな注目のRV125iを、日本の道路で試乗したレポートをお伝えしよう。
通勤や買い物などの移動で重視されるひとつのファクターとして、いかにラクに目的地に到着するかは欠かせない。安全かつスムーズにという基本性能に加え、体力を温存してラクに移動できることも大切な性能なのである。RV125iの大型のウインドスクリーンは、まさしくラクな走りを具現化する象徴的パーツといえる。「大型」と書いたが、スクリーンサイズは大きすぎず小さすぎず、運転中の視界に入らない適度な高さのため、昼夜を問わず走行中に気になることはないだろう。そのうえ、上端が反っているので防風効果は絶大。最高速に近い速度で走っていても、ヘルメットのシールドを開けて走ることができるほどだ。また、今回の試乗の間、レインウエアを所持してない夜間走行でゲリラ雷雨に遭遇した。全身ずぶ濡れとなったが、ウインドスクリーンのおかげで走行中も濡れた体が冷えることがなく、走り切ることができたこともご報告しておこう。
なお、その豪雨はかなりの雨量だったが、シート下に大容量のメットインスペースの防水性は磐石で、荷物を濡らすこともなかった。シートの開閉は、シートが右ナナメ45度くらいの向きに上がるタイプ。サイドスタンドを出して駐車したときの地面の傾き次第では、シートを開けた状態を維持できないという状況も見られたが、そのシート下にあるメットインスペースの容量は、およそ40リットルと原付クラスを凌駕する大容量である。
RV125iは天候や寒暖の差に左右されにくく、実用的な快速クルーザーとしての実力を持っているのは間違いないが、ちょっと気になる点もあった。例えば、ウインカーのキャンセルボタンやタンデムステップの出し入れ、そしてフロントの小物入れ(ペットボトル1本でも入るスペースが欲しい)のカバーなどでは動きが渋かったりガタが目立った。また、シートの表皮が加減速するたびにズレてしまい、走行中にポジションの維持がしにくかったのも気になった点だ。こうしたヒューマンインターフェイス(=人間が触れて操作する部分)で荒削りな印象はあるものの、それらを忘れさせるほどにインパクトのある走りこそが、このモデルの魅了。そんなクラストップレベルの走りについては次の章をご覧いただきたい。
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!