

掲載日:2012年01月10日 試乗インプレ・レビュー
取材・写真・文/河合 宏介
リエフは、1934年にスペインで創業されたバイクメーカーで、その当時から現在まで、職人によるハンドメイド製造を一貫してきた。2011年に日本法人を設立して上陸したばかりのため、まだ「リエフ」というメーカー名が日本で知られていないのは無理もないこと。しかし本格的なオンロードスポーツからオフロードモデルまでラインナップしているメーカーなのだ。
ヨーロッパの多くの国では、自動車の免許で125ccまでのバイクが運転できるので、日本に比べて機種が豊富にある。そんな環境で生まれた「タンゴ125」は、シンプルな空冷の単気筒エンジンを積んだデュアルパーパスモデル。ハンドメイドなのに30万円前半という価格を実現している。オフロード走行も視野に入れたスリムで軽量なボディは、きっと遊びのフィールドを広げてくれるだろう。ライバルの少ないマニュアル操作の125ccカテゴリーに、新しい選択肢がひとつ生まれた。
まず目につくのは、ヘッドライトからリアまで続くスレンダーなボディデザインだ。フレームの幅に合わせてデザインされ、横へはみ出さないスリムな燃料タンクとシートは必見。ハンドル幅は広く、乗車ポジションはトライアルバイクのような印象だ。カウリングやキャリアがないシンプルな造りなので、実際の取り回しも軽く感じる。黒を主体にしたカラーリングで、各所にピンポイントで入れられた赤の鮮烈さが引き立つ。もし実車を見たら、シートの縫い糸にも赤色を使う細かさにも注目して欲しい。普通は悪目立ちしそうなテールランプやハンドルのスイッチの赤色までも、まるでデザインされているかのように感じる。オーソドックスな車体構成なのに、この唯一感が外国車ならではのパッケージングだ。
テスター(身長163cm)がまたがると、両足のかかとまでピタリと接地する。この足付きの良さだと信号の多い市街地での走行も安心できる。しかしシートがスリムなため30分くらい乗るとお尻が痛くなった。これはデザインと引き換えの部分といえる。もしブーツを履くシチュエーションがあるのなら、ステップの防振ラバーが邪魔に感じるだろう。そんな時はラバーだけ外すとステップの金属部分が露出するので、靴底への食いつきが良くなるはずだ。
その他に気になったのは2点。まずブレーキホースが邪魔をして、走行中にメーターパネルが見えにくい点。特にニュートラルランプの点灯が確認しにくい。これは制動力を優先させてホースの取り回しを設計した結果だろう。もうひとつは、サイドスタンドが長いので停車中の車体が立ち気味になる点だ。加えてリターンスプリングの力が強いので、少しの力でサイドスタンドが勢い良く戻る点にも注意して欲しい。
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