

2ストロークモデルのチャンバーは単なる排気装置ではなく、エンジンのキャラクターを左右する重要な要素である。公道向け市販車用の純正マフラーには消音性能を筆頭に様々な制約があるが、そうした規制が緩いアフターマーケットのチャンバーの中には最高出力にこだわった製品も存在する。
しかしK2テックが開発するチャンバーは、このRZV500R用に限らず一貫して公道での扱いやすさに重点を置いているのが特長で、そこにはK2テック久保和寛代表のキャリアと想いがある。1990年代から2000年代初頭にかけて全日本選手権GP125クラスや世界GPで活躍し、レーサーであるヤマハTZ125の開発にも関与した経験から、それこそレーサーに匹敵するチャンバー開発のノウハウは充分に習得しているのが久保氏である。
その上でレーサーと公道の道路事情や求められる特性を考慮して、チャンバーならではの弾けるエキゾーストサウンドとレスポンスの良さを具現化しながらもライダーに過度な緊張感を与えることなく、ライディングを楽しめる性能も盛り込んだ実用性の高さこそが同社製チャンバーに共通した特徴であり魅力なのだ。
また丁寧にロール成形された素材をTIG溶接を駆使して組み立てられたフォルムの美しさもK2テック製チャンバーの美点のひとつで、アンダーカウルから伸びる前シリンダー用チャンバーのグレード感の高さは、RZVにこだわるすべてのライダーが納得する仕上がりとなっている。



RZV500Rのエンジンは先述の通りV4レイアウトで、後シリンダーの純正チャンバーは燃料タンク下を通ってライダーシートの下部分からフレームの外側に取り出されてシートカウル内に収まる独特な形状を採用している。
RZ250/350のようなネイキッドモデルとフルカウルのRZV500Rでは、カウルの有無により開発難易度が段違いで変わる。特に膨張室をシートカウル内に配置しなくてはならない後シリンダー用チャンバーはレイアウト決定だけでも相当の苦労を要したという。もちろん前シリンダー用チャンバーが容易というわけではなく、エンジン下部に水平にレイアウトされたリヤショックやアンダーカウルとの接触を避けながら大きくはみ出さない軌道を描くため、入念な検討を重ねて開発された。
K2テック製チャンバーの代名詞でもある美しいステンレス鏡面仕上げがカウル内側に隠れてしまうのはもったいないが、ハンドメイドのこだわりを内包しているのもオーナーならではの喜びとなることだろう。
性能的にはサーキット向けのピークパワー指向ではなくストリート向けというのも前項で触れたとおりで、基本的なキャブセッティングを変更することなく中速域のトルクとレスポンス向上を体感できる。また高回転をキープする際にはメインジェットのサイズをアップすることで、2スト500ccマシンならではのポテンシャルを引き出すことも可能である。

ヤマハレーサーレプリカモデルを象徴するストロボライン入りシートカウルの内側に配置された後シリンダー用チャンバーのサイレンサー出口は、シートカウル後部から控えめに存在感をアピールする。

後シリンダー用チャンバーは、振動対策にスプリングジョイントを採用したエキゾーストパイプ取り出し口から複雑なラインを描いてフレーム外側に取り出される。外装パーツに隠れてしまう部分だが、鏡面ステンレスとTIG溶接痕が美しい。

K2テック製チャンバーのクオリティの高さが実感できる、サイレンサー出口の向きが4本揃ったリヤスタイル。

前シリンダー用チャンバーは、純正プレートのマウント位置を流用しながらステップやペダルとの干渉を巧みに避けながらレイアウト。サイレンサーに向けた立ち上がり角度も絶妙だ。

エキゾーストパイプは後シリンダーと同様にスプリングジョイントで、アンダーカウルとのクリアランスを考慮したレイアウトを採用。クランクケース下部に限りなく接近していることが分かるだろう。

エンジン下部には水平に配置されたリヤショックとリンクがあり、それらを避けたレイアウトも特徴的。純正アンダーカウル装着前提で制約が増えるが、各部の辻褄を合わせながら必要な性能を実現できるのも、長年にわたるチャンバー開発で蓄積したノウハウがあるからこそ。

RZV500R用チャンバーの素材は画像の鏡面ステンレス、STDステンレス、スチール製の3種類で、いずれもシート状の材料を手巻き成形してTIG溶接で組み立てている。ステンレス製はサビの心配がなく、美しい外観が長く持続できるのが特長だ。
■各商品別料金
①RZV500R鏡面ステンレスチャンバーTYPE-2 価格:44万円(税込)
②RZV500R STDステンレスチャンバーTYPE-2 価格:41万8000円(税込)
③RZV500R K2スチールチャンバーTYPE-2 価格:39万6000円(税込)