憧れの絶版車もレンタルなら気軽に乗れる!乗りたいマシンを「絶版車総選挙」で選ぼう

掲載日/2024年8月30(金)
取材協力/株式会社バイク王&カンパニー
写真、取材、文/野岸“ねぎ”泰之
構成/バイクブロス・マガジンズ

※「ホンダ ドリームCB750Four」と「ヤマハ RZV500R」は今回の「絶版車総選挙」にはエントリーしていません。

バイク買取りのトップブランドとして広く知られているバイク王では、車両の販売のほか、レンタルバイクサービスも展開しているが、このほど「絶版車」をレンタルできる新たなサービスを実施予定だ。それに合わせ、ユーザーが乗りたい車両を選ぶ「絶版車総選挙」と、プレミアムレンタル無料体験の公募が行われる。気になるその内容を詳しく見てみよう。

ユーザーの投票でレンタルするマシンを決める!

バイク王では、一般的なレンタルでは扱っていない「希少性の高い車両や高級な車両」を一般のライダー向けに有料で貸し出しする「プレミアムレンタルバイク」を、今年の秋頃の開始に向けて準備している。バイク王に寄せられる「売る・買う」に関しての年間相談件数約30万件(※)あり、全国から多種多様なバイクや、なかなか目にすることができない希少性の高いバイクまでが集まってくる。最新の高性能バイクから、古いものでは半世紀近く前に製造されたバイクもあるが、同社では国家資格をつ整備スタッフ監修のもと、豊富な取り扱い実績から得た知見を活かして丁寧に整備を施したうえで、ユーザーへの販売やイベントでの試乗会などの機会も積極的に提供している。

特に絶版車については、新店のオープニングイベントにおける試乗会や、モーターサイクルショーや鈴鹿8耐などのイベント時に展示されたりしているので、見かけた人も多いだろう。これらの絶版広報車は、いずれも名車と言われる車種が揃っている。そのため、たまに行われる試乗会では乗車希望者が多数で抽選が行われるなど、非常に高い人気を誇っている。中にはお目当ての車両に乗れるまで何度もトライする人がいるなど、もはやバイク王のイベントでは目玉企画と言ってもいいぐらいの人気なのだ。

今回はその名車揃いの絶版車の中から、ユーザーが「これに乗りたい!」と思う車両を投票で選ぶという、その名も「絶版車総選挙」を実施。投票結果の上位3車種を、新たにレンタルバイク用車両として運用するという夢のような企画となっている。さらに今後も絶版車限らず希少なバイクを集めて「プレミアムレンタルバイク」を拡大する予定だというから目が離せない。

また、この絶版車総選挙のユーザー投票と並行して、応募者の中から選考の上無料で当選車両に乗ることができる「プレミアムレンタル無料体験」も実施される。これには写真や動画とともに体験模様をSNSに投稿して発信することが条件となるが、希少な絶版車に無料で乗れるという絶好のチャンスなので、総選挙の投票と合わせ、ぜひ応募してみることをお勧めしたい。

※ 買取・販売に関する問い合わせ件数の合計(期間:2023年6月~2024年5月)

エントリー車両はいずれも名車揃い!!

エントリーする車両は、次の7台だ。

No.1 ホンダ NSR250R SE(MC28)

1986年に登場したNSR250Rは、1985・86年のロードレース世界選手権(WGP:現MotoGP)の250ccクラスで2年連続チャンピオンマシンを獲得したNSR250のレプリカモデルとしてデビュー。水冷2ストロークV型2気筒の249ccエンジンを軽量なフレームに搭載したロードスポーツだ。初期モデルのMC16型から88年登場のMC18、90年にはMC21、93年にMC28と、10年ほどの間に4度のフルモデルチェンジが行われた。今回のエントリー車は最終型となるMC28型で、片持ちのスイングアームやカードキーシステムを採用。さらにこのベースモデルに乾式クラッチやカートリッジ式フロントフォーク、リザーバータンク付きリヤサスを装備した「SE」タイプだ。エンジンをかけ、ギアを入れると乾式クラッチ独得の「カラカラカラ……」という音が、レーサー気分を盛り上げてくれる。2サイクル独得の鋭い加速とヒラヒラした身軽な操作感は、まさにレーサーレプリカの王道をいく走りを実感できる。

No.2 ホンダ NS400R(NC19)

NS400Rは水冷2ストロークV型3気筒387ccのエンジンを搭載したマシンで、デビューは1985年。当時ロードレース世界選手権(WGP:現MotoGP)の500ccクラスに参戦していたワークスレーサー、NS500のレプリカモデルだ。エンジンの配置はクランクケース前方に水平2気筒、Vバンク90度の挟み角で後方に1気筒、というもの。アルミ製角断面フレームや空気圧でプリロード調整が可能なエアアシストフロントサスペンション、オールアルミ製コムスターホイールを採用するなど、当時の先進技術が投入されている。同じホンダのMVX250Fと並んで、稀有なV3エンジンを持つ市販車だ。V型3気筒エンジンが生み出す滑らかなフィーリングは独得のもの。400ccという排気量の余裕と、ホンダ独自の排気バルブATACの効果で低中速トルクもあり、意外と扱いやすい乗り味だ。しかし、7000回転以上になると性格は一変、2サイクルらしい豪快な加速を味わわせてくれる。

No.3 ヤマハ RZ350(4U0)

35psを誇る水冷2ストローク2気筒エンジンを搭載し、爆発的にヒットしたRZ250の排気量を347ccに拡大し、1981年2月に登場したのがRZ350だ。RZ250とは車体の主要コンポーネントを共通としていたが、キャブの内部パーツも変更され、最高出力は45psまでアップされた。そのパワーを受け止めるため、フロントブレーキがダブルディスク化されていたのも特徴だ。国内では「ナナハンキラー」と呼ばれ、峠ではその速さを存分に発揮したマシンだ。乾燥重量143kgという現代の4ストロークマシンでは考えられないような軽量ボディに、250ccよりもトルク感のある45psのエンジンを積んだ走りは、フルカウルモデルにはないヒラヒラ感のあるもの。ノーマル形状のチャンバーが奏でる甲高い排気音と白煙は、80年代バイクブームをまざまざと思い出させてくれる。

No.4 スズキ GSX1100S KATANA(GU76A)

1980年のケルンショーでプロトタイプが発表され、抜き身の日本刀をモチーフにしたハンス・ムートのデザインが話題を呼んだ。翌年その先鋭的なデザインがほぼそのままで発売され、大人気となったのがGSX1100Sカタナだ。長らく日本国内では自主規制によって750モデルのみが販売されていたが、1994年には初めて1100の日本仕様が登場した。今回エントリーしたマシンはパワーアシストクラッチやリザーバータンク付きのリヤショックを搭載したモデルで、ヨシムラの4in1マフラーが装着されている。乾燥重量は232kgとヘビー級、フロントホイールは19インチでホイールベースも1515mmというマシンの挙動はあくまでもゆったり。現代のリッターバイクのようなキビキビとした曲がる、止まるとは正反対の乗り味だが、それだけに「自分でマシンを操っている」という満足感を存分に味わえる。

No.5 スズキ RGV250Γ SP2(VJ22A)

スズキのレーサーレプリカとして人気だったRG250Γ(ガンマ)は2ストロークのパラレルツインエンジンを搭載していたが、その後継として249cc水冷2ストロークV型2気筒エンジンを積んで1988年にデビューしたのがRGV250Γ、通称Vガンマだ。今回のエントリー車は発売後わずか2年で大幅な改良を受けたモデルで、右側2本出しのサイレンサーが特徴的だ。エンジンを電子制御するSAPC、倒立式フロントフォーク、湾曲したスイングアームを採用している。今回のエントリー車両は、SP2をカスタムしミッションのみSP1としたもので、乾式クラッチの採用やキャブのベンチュリー大径化、シリンダーのメッキ部分拡大などが行われている。ニーグリップのために大きくえぐられたタンクを抱え込むように乗るライディングポジションは、まさにレーサーレプリカ。乾式クラッチ特有の「カラカラカラ……」という音とともに、2本出しサイレンサーが奏でる2ストローク独得の乾いた排気音が、乗り手をその気にさせてくれる。

No.6 カワサキ Z1(Z1F)

当初は量産車初の直列4気筒エンジンを目指して開発していたが、ホンダCB750フォアに先を越されたことで排気量を903ccとし、当時としては画期的だったDOHCを採用、1972年11月に発売されたのがZ1だ。正式な車名は「900スーパー4」で、流麗なティアドロップタンクや4本マフラーなどのスタイリッシュなデザインと、最高速度が200km/hを超えた走行性能などと併せ、世界的なヒットモデルとなった。現代のネイキッドモデルよりも高く、広めにセットされたハンドルバーが生み出すポジションはゆったりめでリラックスできるもの。空冷インラインフォーのエンジンから生み出されるエキゾーストノートは迫力があり、走りもパワフルだが重厚感がある。これぞ大排気量絶版車、という醍醐味を味わえる車両だ。

NO.7 カワサキ 500SS MACHⅢ(H1F)

メイン市場となる北米をターゲットに、絶対的な加速力とスピードを追い求め、1968年に発表されたのが500SS MACHⅢだ。空冷2ストローク直列3気筒のエンジンは60psを叩き出し、最高速度は約200km/hと、当時としては驚異的な性能を誇った。白煙をまき散らしながら走り去る姿は圧巻だったが、その過激な走りは乗り手を選ぶ“じゃじゃ馬”としても有名だった。エンジン回転を上げるとともに牙をむく加速は、現代のマシンでは感じえない荒々しさがある。パワーに対してブレーキが貧弱なところには注意が必要だが、直線番長という異名を持つだけあって、その速さは一度乗ると誰もが虜になる魅力を秘めている。

絶版車の素晴らしい世界を体感する絶好のチャンス!!

バイクブームを知る世代には懐かしく、若い世代にとっては憧れでもある絶版車。新車では買うことができないプレミア感や、2ストロークエンジンの軽量でパワフルな走りなど、現代のバイクにはない魅力にあふれている。しかし近年は価格も高騰気味。それに自分で所有するとなると、パーツの確保やメンテナンスなども大変だ。実は筆者の家にもホンダのNSR250R(MC16)があるのだが、しょっちゅう乗って動かしても不具合が出たり、予備パーツをオークションで探して備蓄するなど、やはりそれなりの手間と覚悟が必要だ。しかし、やはり2ストロークレーサーレプリカの胸のすくような加速や軽量でパワフルな走りは魅力的で、乗っていてとても楽しい。苦労はあるが、それを超える魅力を、絶版車は持っていると感じる。

絶版車が気になるものの、購入するにはちょっと踏み切れない、という人でも気軽に乗ることのできる「プレミアムレンタルバイク」は、絶版車の世界への間口を広げてくれるとてもいいサービスだと思う。「古いマシンだから整備状態が気になる…」という懸念はバイクに明るいベテランライダーほど抱いて当然であるが、バイク王が誇る豊富な取り扱い実績に裏打ちされた知識と技術がもたらす確かな整備力により、抜群のコンディションの車両を安心して乗ることができるのも非常に心強い。不特定多数の人間が様々な乗り方をすることが想像に難くないレンタルサービスにおいて、四半世紀、モノによっては半世紀も前の絶版車を提供するという大いに挑戦的な今回のサービスは、翻って同社の整備にかける自信の現れとも言えるだろう。

ともあれ憧れのマシンに乗れる「プレミアムレンタルバイク」の正式サービスインを楽しみに待ちながら、まずは「絶版車総選挙」で自分の”推しバイク”に投票してみよう。

INFORMATION

株式会社バイク王&カンパニー
住所/東京都世田谷区若林3-15-4
電話/03-6803-8811