正規ディーラーとして20年の歴史を誇る、KTM神戸イースト/ハスクバーナ・モーターサイクルズ神戸イースト/WP神戸イースト

掲載日/2023年3月9日
取材協力/KTM神戸イースト/ハスクバーナ・モーターサイクルズ神戸イースト
取材、文/中村友彦 写真/富樫秀明
構成/バイクブロス・マガジンズ
近年になって急成長を遂げているKTM/ハスクバーナ。2003年に正規ディーラー契約をして以来、日本市場におけるこのブランドの支持層拡大に大いに貢献しているのが、2022年8月にリニューアルオープンを行ったKTM神戸イースト/ハスクバーナ・モーターサイクルズ神戸イースト/WP神戸イーストだ。

広大な敷地面積を誇るショールームに
20台以上の最新モデルを“ゆったり”と展示

ショルーム入り口には試乗車がズラリと並ぶ。4輪の駐車スペースは数台分だが、すぐ近くにコインパーキングが存在。

2022年8月から新店舗での活動を開始した、KTM神戸イースト/ハスクバーナ・モーターサイクルズ(以下、HQV)神戸イースト/WP神戸イースト。この正規ディーラーを訪れたら誰もが最初に感心するのは、広大な敷地面積を誇るショールームに20台以上の最新モデルが、“ゆったり”と展示されていることだろう。

車両をツメツメ状態で配置する販売店は少なくないのだが、車両の前後左右に十分なスペースを確保しているKTM神戸イースト/HQV神戸イースト/WP神戸イーストの新店舗では、お気に入りのマシンをありとあらゆる角度からじっくり観察することが可能なのだ。

店内左にはKTMの主要モデルを展示。壁際には純正アパレルやグッズが展示されている。

店内右はハスクバーナ用スペース。ピレンシリーズの奥に並ぶのは、701スーパーモト、TE250、ノーデン901だ。

それに加えて、常時10台前後の試乗車を準備し、そのほぼ半数が独自のローシャーシー仕様になっていることや、WP製ショックユニットの分解整備作業がガラス越しに見学できること、数多くの純正アパレルやグッズが展示されていること、店舗二階に歓談用のテラスが設けられていることなども、KTM神戸イースト/HQV神戸イースト/WP神戸イーストの特徴である。

もっとも同店の最大の特徴は、そういった外観から判別しやすい要素ではなく、代表の山鹿延也さんを筆頭とするスタッフ全員が、各車の特徴を熟知していることかもしれない。何と言っても、同店のKTM正規ディーラー歴はすでに20年で(ハスクバーナーは2018年から)、これまでに整備を手がけたKTM/ハスクバーナは数千台に達しているのだから。

自社で扱うバイクの特徴を熟知した、KTM神戸イースト/HQV神戸イースト/WP神戸イーストのスタッフ。中央が代表の山鹿延也さん。

ピットスペースの2Fには、お客さん同士の歓談を想定したテラスが設けられている。

乗ってはバラしてを何度も繰り返して
走破性と耐久性の高さを実感

KTM神戸イースト/HQV神戸イースト/WP神戸イーストの原点は、1993年に山鹿さんが創業したメンテナンスショップ「インパラ」である。そして正規ディーラーになる以前から、山鹿さんはKTM各車に接していたのだが、このメーカーに本腰を入れるきっかけは、2002年にコンセプトモデルとして発表されたVツインだったそうだ。

1962年生まれの山鹿さんは、19歳から約10年に渡って2輪販売店で働き、31歳のときに自身のショップを創業。かつてはオンオフを問わず、いろいろなレースにライダーとして参戦していた。

「そもそものきっかけは、スーパーバイクのRC8です。当時はまだ詳細は公開されていませんでしたが、ルックスのインパクトが強烈でしたし、KTMは過去にロードバイクやスクーターも製造していましたから、興味津々になりました。ただし“KTMをメインでやっていこう”という決断の原点になった車両は、950アドベンチャーでしょうね。このバイクを自分で購入して、乗ってはバラしてを何度も何度も繰り返した私は、抜群の走破性と耐久性、さらには良好な整備性に心から感心することになったんです」

ショールームだけではなく、メカニックが作業を行うピットスペースも広々&整然とした雰囲気。リフトは埋設式。

ちなみに、オフロードのトップメーカーとして名声を獲得したKTMは、2003年からロードレースに復帰し、2005年にバック・トゥ・ロード宣言をしてからは、オンロード指向のニューモデルを次々と発売。山鹿さんはそのすべてと真摯に向き合い、自らの選択が正しかったことを実感したと言う。

ローシャーシ仕様となった390アドベンチャー。前後サスペンションに加えてシートを変更することで、身長150cm台のライダーでも安心できるフレンドリーさを獲得。

「従来から主力だったオフロードやスーパーモタードを含めての話ですが、2000年代に入ってからのKTMはとにかく勢いが凄まじくて、どのモデルに乗っても心から感動できるんです。だから新型が登場するといつもワクワクしますし、その状態が20年も続いているわけですから、このブランドは私と同じ方向を向いていると思いました」

乗り手の体格や用途に合わせて
前後サスペンションをセットアップ

もっとも世間の一部には、KTM/ハスクバーナは乗り手の体格や技量を問う……という説が存在する。ただし山鹿さんによると「自分には合わないのかも?」と感じるライダーが存在する背景には、明確な理由があるそうだ。

古くから前後ショックの分解整備を行っていた山鹿さんは、2003年にWPのメンテナンスライセンスを取得。設定変更やオーバーホールなど、すべての作業を自身の手で行っている。

「KTM/ハスクバーナは、一部の機種を除くと設定体重は75~85kgと公言しています。だからそれ以下の人、それ以上の体重の人が違和感を覚えるのは当然のことで、ライダーの体格や用途に合わせて前後サスペンションの設定を変更すれば、違和感は確実に解消できるんですよ。そもそも前後サスペンションは乗り心地や安定性、ハンドリングを左右するパーツで、いろいろな方向で調整ができますからね。さらに当社ではプラス要素として、足つきの不安を解決するメニューも数多く準備しています。ライダーに合ったスプリングの製作だけではなく、シートやハンドルポストなども独自に開発し、需要の多い製品は商品化しているんです」

店内の一角に展示されたシート。左の2つはKTM純正のパワーパーツで、その他は快適性を維持しながら足つき性を改善した同店のオリジナル。

ライダーの体格差を語るうえで、KTM/ハスクバーナで興味深いのは、前後サスペンションのスプリングレートをメーカーが公開し、車両によってはソフト・ハードの設定を行っていること。KTM神戸イースト/HQV神戸イースト/WP神戸イーストではそのデータをベースにして設定以外のオリジナルのスプリングを制作し、もちろん独自のローシャシ仕様にもセットしている。

同店が開発したオリジナルパーツの一部。左は125/250/390デューク用ハンドル30mmバックスライドキットで、中央上はプリロードアジャスターを手動→油圧式に変更するアタッチメント。中央下は1290スーパーデュークR EVO用のロワリングプレートで、右の3つはショートタイプのリアショック用エンドアイ。

「改めて振り返ると、私は1993年にインパラを創業した当初からライダーに合わせて各部のセットアップを行っていたのですが、KTM/ハスクバーナは、そういった考え方を後押ししてくれる印象です。いずれにしても、KTM/ハスクバーナに関することならどんなことでも相談に乗りますので、この2つのブランドに興味のある方、あるいは、すでにオーナーになっていて何らかの悩みを抱えている方は、気軽に来店して欲しいですね」と山鹿さんは語る。

INFORMATION

住所/兵庫県尼崎市西昆陽3-1-10
電話/06-6432-0061
営業時間/10:00~18:00
定休日/第1・3・5木曜、第2・4水曜、レース及びイベント時

2003年からKTM正規ディーラーとしてオープンしたIMPALA。2018年からはハスクバーナ・モーターサイクルズ神戸イーストとしてハスクバーナ・モーターサイクルズの取り扱いも開始し、2022年8月に店舗をリニューアルした。また、WPサスペンションユニットの販売、セットアップ、メンテナンス、チューニング等を手がけるサスペンションのプロショップでもある、オリジナルパーツの開発にも積極的。