掲載日:2023年08月30日 プロが造るカスタム
取材協力/T’s-style 取材・写真・文/ガスグラフィックス
この企画で何度も書いてきたが、ビッグスクーターが大人気だった当時は、専門のスクーターショップだけではなく一般のバイク販売店も様々なカスタムを製作し、ショーイベントに参加したり、数々の専門誌に取り上げられてきた歴史がある。今回紹介するこちらのフュージョンを製作したT’s-style(ティーズスタイル)も正にそんなお店の一つで、神奈川県大和市で営業を続けている老舗販売店である。湘南エリアが近いこともあり、店舗外観にはヤシの木が植えられ、店内もウッドを基調としており、バイクショップというよりもサーフショップのような雰囲気が特徴なのだ。
このフュージョンが製作されたのは2008年。当時すでにロンホイ、エアサス、着地によるローライダースタイルが流行り始めていたが、この主流の裏をかいて話題をさらった1台となった。アメリカでも正式に販売されているフュージョンだけに、できる限り純正の雰囲気はそのままに残す。その結果、ローダウンも最小限でハンドルやタンデムバーなどは、何も施さず純正のまま採用。そして古いアメ車で見られたウッディ=木製パネルをモチーフとしたT’s-styleのオリジナル外装を全5面に施し、このスタイルを完成させた。しかも、この当時はこれが新車コンプリートとして販売されており、ノーマルフュージョンの新車販売価格でこれが購入できるという価格設定も非常に魅力的だったのだ。
ビッグスクーターはブームが終焉してしまったことで、カスタムに対するアイデアや表現方法が画一的になってしまったことは否めない。このT’s-styleが生み出したウッディフュージョンを久しぶりに眺めていると、カスタムのアイデアは無限大にあるはずなのだと、改めて考えさせられる。