掲載日:2022年08月10日 プロが造るカスタム
取材協力/CUSTOM SHOP ETERNITY
取材・写真・文/ガスグラフィックス
ビッグスクーターブーム最盛期に登場し、今でも現役で第一線を牽引し続けるカスタムショップエタニティ。マジェスティCを中心にしたラグジュアリー路線で一世風靡した同店の、2006年の代表車両がこちらとなる。すでに定番化されていたエアサスによる着地仕様だが、ロングホイールベース化は控えめの15センチ。各エアロも、フロントフェイス、フロントサイド、フロントアンダー、フロントフェンダー、タンデムカバー、サイドフラップと、合計6点も装備しているのに非常に控えめな佇まい。このコンパクトでシンプルな造り込みが、同店代表である上田さんが狙った「今までにない大人仕様」なのだ。
この時の車両作りのポイントは、テールとサイドの雰囲気を最初に考え、それに合わせて各部のパーツを選定しバランスを取ったことにある。一般的には車両の肝とも言えるフロント周りの熟考から始まると思う。しかし、「やり過ぎないけどやってある」というシンプル系を目指す際に必ず問われる禅問答のようなこの難題を解決するための秘策が、上田さんにとってはリア回りの雰囲気作りだった。
この車両が誕生した2006年は大ブームの真っただ中のため、各プロショップとメーカーが凌ぎを削って、毎月数えきれないほどのカスタム車両が登場していた。当時ではまだまだニューカマーとして業界に足を踏み入れたばかりのエタニティが、老舗ショップを唸らせた技術とセンスが、このマジェスティCに込められているのだ。
各エアロは全てエタニティ製。ヘッドライトを過度に隠さず、品のあるラインとエッジ感が特徴のチョップフェイスは、今でも大人気。それに繋がるサイドカウルも横への張り出し感を抑える代わりに、ヘッドライト下部へのボリューム感を足したデザインが秀逸。
リアはタンデムカバーとサイドフラップで上品さを演出。リアスポイラーではなく、純正タンデムバーもデザインの一部に流用したこのシンプルさは革命的アイデアだった。サイドフラップもまるで純正であるかのような存在感。テールランプは当時大ヒットしていたプロショップウェーブ製クリアテールが懐かしい。
サイレンサーを左出しにしたことで、右側にはエアサスペンション用のエアタンクをあえて外部に設置し、ショートサイレンサー風に見せた。こういった独特のアイデアひとつひとつがエタニティの真骨頂。またホイールも含めて、全体にメッキを使用することでの高級感向上も忘れていない。
シンプルなスタイルはライディングポジションも重要。こちらも当時大人気だったポッシュ製ハンドルバーとライザーで、適度な前傾姿勢を確保。グリップ、スイッチボックスはメッキで統一しつつ、メーターには大人気だったELメーターの主要ブランド、百鬼(HYAKKI)を投入。
足周りの造り込みも手加減しないことが、大人仕様の重要ポイント。現在ではプレミア価格となっているワイズギア製メッキホイールに、シンプルなスリットのみのローターの組み合わせが美しい。ピレリEVO01のサイズ感も学ぶべき要素のひとつだ。
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