ヤマハ マジェスティC(エタニティ)
コロナウイルス感染拡大の影響もあり、この企画の取材がなかなかできない状態が続いている。けれど、スクーターカスタムの情報は発信していきたい……。そこでいろいろと思案した結果、今も活躍するプロショップの歴代有名車両を【カスタムアーカイブ】シリーズとして紹介することにした。懐かしい名車のはずが、今見ても色褪せていないのは、当時から各ショップがこだわりを持って造った車両だからに違いない。
美麗に着飾るラグジュアリーは
ビッグスクーターカスタムの原点のひとつ
エンジンスワップ、前後4輪化、フロントフェイススワップと、ビッグスクーカーカスタムのハードスタイルは留まることを知らない。しかし、ここに至るまでの過程には、“ラグジュアリー”と呼ばれる高級感や美しさを表現するジャンルがあったことを忘れてはならない。
最近では、数多くの17インチTMAXを生み出し注目を集めているのが、エタニティだ。元々は同名のチーム結成がきっかけであり、そのリーダーだった上田さんが立ち上げたショップであることは、古くからのユーザーであれば周知の事実。しかし、創業当初はここに紹介するようなシンプル系高級志向の車両を得意とするショップであったことも、ぜひとも覚えておいてほしい。
ビッグスクーター界におけるラグジュアリースタイルの原点は、当然ながらクルマの世界にあった。黒塗りでクロームパーツ満載のVIPカーをきっかけに、そこからイカツサを差し引き、逆にオシャレ高級感を打ち出したラグジュアリーへと変貌。正にこの雰囲気が当時のビッグスクーターユーザーにも支持されていったのだ。特にエタニティは、シンプルで大人の似合う自社オリジナルエアロの人気が高かったこともあり、このマジェスティCのように美麗な車両を数々生み出したわけだ。
今こうしてプロが造った車両を目の当たりにすると、ホイールを四輪化せず、ほどよいロングホイールベースに留めて、シンプルな仕上げでまとめたこのジャンルこそ、カスタムに興味を持ち始めたユーザーが憧れるスタート地点だったことを実感する。
詳細写真
白が基調のため、シートも同色に。大胆で上品なダイヤカットパターン、ホールド性が高いデザインと、当時のラグジュアリー派に絶大な人気を誇ったエタニティオリジナルシート。
このジャンルのポイントは、いかに美しく輝かせるか、にかかっている。そのため、各部をメッキ加工するのは当然であり、しかもそれを美しく保つことが重要なのだ。なおこの車両には、オーバーレーシング製スイングアームという超レアパーツが装着されていたり、右にはエアサスタンクをサイレンサー風にして見せるなど、見所ポイントが多い。
マフラーはこのように左出しに変更。このホワイトカーボン柄のショートサイレンサーも、エタニティならではの質感が魅力。さりげないカチ上げ具合も、当時ならではのスタイルだ。
クルマのスポコン文化からヒント経て生み出されたユーロテール。こちらも懐かしのプロショップウェーブ製。装着されているが、シンプルなデザインでさりげなくその存在感を主張するリアスポイラーもエタニティオリジナルエアロ。
チョップフェイス、サイドカウルと、派手にならないこのシンプルさこそがエタニティ製エアロの真骨頂。煌びやかに輝くヘッドライトも、レンズをしっかりと磨いていることがラグジュアリースタイルのポイント。ボスコム製フロントウインカーは、信頼高い日本製。