掲載日:2022年07月20日 プロが造るカスタム
取材協力/PIT IN AUTO 取材・写真・文/ガスグラフィックス
ビッグスクーターのカスタムは、ローダウンを施し、マフラーを交換することから始まった。その後、社外品として様々なメーカーからエアロが登場したことで、エアロ装着までがライトカスタムのファーストステップとされたのだ。この流れは、クルマのドレスアップシーンと同様で、足回りをキメてエアロを巻く。正にこの遊びが、そのままビッグスクーターシーンへと反映されたことになる。今回紹介するフォルツァ(MF08)は、正にその流行時のひとつの時代を切り取ったスタイルが印象的な1台だ。エアロはフロントマスクとリアスポイラーのみ。走行性能を失わないさりげないローダウンを施しマフラーを交換。ボディの基本色は純正を流用しているが、インナーに鮮やかなグリーンを施したことで、ライトカスタムの中でもワンステップ上のスタイルを提案していた。
当時この車両を製作したピットインオートは、今でも東京都新宿区でバイクショップとして活動している。ビッグスクーターのブーム当時は、自社のオリジナルブランドとしてB’s style(ビーズスタイル)、C’s style(シーズスタイル)、M’s collection(エムズコレクション)、ワイルドライオンなどを展開していた。それだけでなく、様々なパーツを組み込んだコンプリートカスタムも各車種を販売。その結果、販売店ながらもビッグスクーターに精通したショップとして、有名になったのだ。同店の特徴は、カスタムではなく、あくまでもバイク販売が根幹ビジネスである、ということ。つまり、ハードな趣向を好むユーザーよりも、ビッグスクーターに興味を持ったばかりのユーザーに対して、その入り口のハードルを下げて、分かりやすく、手に入れやすい価格でのライトカスタムを設定。それを全国のユーザーに販売することで、ビッグスクーターブームの土台を支えてくれていたのだ。この記事で何度も書いているが、ハードカスタムばかりがビッグスクーターのシーンではない。こういった車両のように、ライトなスタイルで長く乗り続けることもビッグスクーターライフのひとつの楽しみ方なのだと、改めて伝えておきたい。