掲載日:2022年02月09日 プロが造るカスタム
取材協力/LOTAUS
取材・写真・文/ガスグラフィックス
伝説上の生き物、鳳凰がボディ全体に施されたヤマハ・マジェスティC。大きく広げた羽となびく尾で、空を優雅に舞うように描かれた二翼は、今正に空に飛び立ちそうな雰囲気を醸し出している。日本のバイク&クルマのカスタム文化の中で、和柄の意匠とエアブラシと言えば、アートトラックが源流であろう。本物と見紛うようなエアブラシの技術は多くの人を魅了し、車両とそのオーナーの意思を誇らしげに主張してくれる。そのスタイルをビッグスクーターに落とし込む技は今までもあったが、数は決して多くはなかった。そのジャンルに、ロータスが果敢にチャレンジしたのがこの車両だ。
しかし、注目すべきは外装だけではなく、そのカスタムの内容にもある。必見はリアの4輪化仕様にしたキットだ。この商品は今から14年前の2008年に、apr(エーピーアール)より発売されたビッグフットキット。当時からすでに流行しつつあったスカイウェイブ(CJ43)用エンジンを使っての4輪化ではなく、マジェスティC、フォルツァ(MF08)、スカイウェイブ(CJ44)に、エンジンを交換せずに4輪化を実現した画期的なキットだった。しかもロータスでは、エアサス前提で装着するために作られたこのキットを、ワンオフ加工によりリンク式サスペンション化。車体下部にサス本体があるため、外観からはサスが一切見えない構造となっているのがポイントとなる。
それ以外にも、フロントはY’S GEAR製14インチホイールと、こちらも当時大人気、現在は絶版となっている商品を惜しげもなくセット。さらに驚くのはフロントフェイスとサイドカウルをスムージングして一体化。このように、ロータスは新旧の技術をミックスして、このマジェスティCを作り上げたのだ。こういった製品に関する知識と、ペイントを含めて、上手くまとめ上げる技術。これこそがプロショップの成せるセンスと技であることを覚えておいてほしい。
美しく描かれた鳳凰が映えるように、フロントフェイスとサイドエアロはスムージング処理してひとつにまとめてある。整備性を考えるとデメリットがあるが、ボディをキャンパスと捉えたときに最高の仕上がりとなった。ロータスのスーパーローフェイスは、メーター移設を必要とする極限の低さだけではなく、ご覧のような鋭い眼光も人気の理由。
ノーマルの13インチから1インチアップの14インチ化が可能なY’S GEAR製フロントホイール。純正オプションならではの高品質も重要で当時は大人気商品だったが、絶版となった今、程度良好な商品を見つけるのは至難の技。ローターを注視すると、インナー部分がリアホイールのデザインと合わせた桜になっている。
こちらが発売当時注目されたビッグフットキットで、右側のY字型のプレートがこの商品の特徴。本来であれば上部スタッズが装着されている部分にエアサス本体のフィッティングがあるのだが、この車両にはそれが無い。完全に見えないリンク式サスペンションにしているためである。aprはモータースポーツ好きならば知らない人はいないスーパーGTを主戦場とする有名コンストラクター。そんな会社があの当時、“three one(スリーワン)”というブランド名でDC-AIRといったエアサスやこのようなキットを製造販売していたのだから、いかに当時のブームが凄かったかが理解できるだろう。
ロータスの主力商品であるS417ハンドルは、専用穴あけ加工済みのため、ボルトオンで装着可能。この車両にはメッキが装着されているが、ブラック仕様もあり。モニターで見えないがその向こうがに装着されたハンドルブレースは、ブレーキレバーと同デザインのメリケンサックスタイル。装着時の低さを追求したキックスエクスレイテッド製のステルスミラーも懐かしい逸品だ。
FRPローダウンシートはロータスオリジナルのVOGUE。エナメル地の大胆なダイヤモンドカットとゴールドのパイピングは、鳳凰のエアブラシに良く似合っている。なお、鳳凰をよく見るとアンダーカウルまで描かれており、このマジェスティCのボディ全体を使ってこのデザインを表現されているのがよく分かる。
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