掲載日:2020年09月23日 プロが造るカスタム
取材協力/TOP MOST 取材・写真・文/ガスグラフィックス
久々に、興奮する車両に巡り合った。ベース車両は最新型のホンダ・フォルツァ。2018年に発売開始となった、ブーム当時のように型式から表現すれば、MF13フォルツァである。
電動可動フロントスクリーンやホンダのスクーターとしては初採用となったトラクションコントロールシステム=HSTC(ホンダセレクタブルトルクコントロール)、灯火類は全てLEDを装備した紛れもない現行車。それをベースに選んだ、志高いユーザーが現れたのだ。
最新車両にてハードなカスタマイズ車両を楽しむユーザーがいない理由は、大きく分けて三つある。まずひとつは、ブーム終焉と共に専用の新型車のアフターマーケットパーツが発売されなくなったこと。そして、各バイクメーカーから発売される車両が、様々な事情によりカスタマイズをしにくい構造で登場するようになったこと。そして最後は、20年以上にも及ぶ日本の景気低迷により、新型車を購入して、さらにそこから多額のお金をカスタマイズに投資できるユーザーが減ったことだ。その結果、今から18年前に発売されたヤマハ・マジェスティCを筆頭に、当時のブーム真っ只中に生まれた車両が、未だに中心的役割を担っているのは否めない。
この新型フォルツァに関しては、専門ショップなどによる外装パーツが無いため、外装関係はほぼ手を付けていない。しかし、トップモストが築き上げた定番のロングホイールベース&リアサスペンション加工を施すことで、紛れもない最新スタイルが完成したのだ。しかし、フロントウインカーのスムージング&移設、純正シートをベースとしたローダウンシートなど、要所にはさりげない仕様変更が施されていることも必見。その結果、見た目は純正と大差が無いようだが、どこにも属さない唯一無二の存在感が漂っている。
中途半端に手掛けるのではなく、大胆に純正を残したまま、スタイルを追求する。このフォルツァは、最新車によるカスタマイズの方向性と、ハードにイジることだけが重要ではないということを、改めて教えてくれる車両だった。