掲載日:2020年09月09日 プロが造るカスタム
取材協力/CUSTOM SHOP ENTERNITY 取材・写真・文/ガスグラフィックス
ビッグスクーターがブームとなるそのきっかけを作った車両。それが、ホンダ・フュージョンであることに異論を挟む人はいないはず。1986年に登場し、1997年に生産終了。当時は、実用性重視のライダーにしか好まれなかったこのデザインだったが、格安中古車が数多く出回り、かつ足つき性の高さ、快適な二名乗車、さらに荷物も積載可能だったこともあり、渋谷を中心としたストリート界隈で、オシャレなバイクとしての地位を生産終了後に確立。結果、2003年から2007年まで再生産されたという、稀有なスクーターだった。こういった歴史を繰り返したことで、フュージョンも相当数のファンを獲得。その結果、ブーム当時は、各社より様々なカスタマイズパーツが登場していた。
そういった歴史的背景に目を向けてこのフュージョンに注目すると、あの当時、絶大な人気を誇ったパーツと、今の時代に求められるスタイルを巧みに織り交ぜた仕様であることに気づかされる。まず、最初に注目したいのは足回り。当時、フレーム加工などで一躍注目を集めたショップであった新井コウテツが、独自にサスペンションを開発し、専用品として発売を開始したものだ。日本全国のカスタム派フュージョンユーザーがこぞって買い求めたことで、何度も再生産を繰り返していた逸品とも言える。
次に気になるのは、2本出しのロングサイレンサーが美しい、ホットラップ製アメリカンクラシックだ。これもロー&ロングというアメリカンバイクを彷彿とさせるフュージョン独自のスタイルから生まれた人気商品。しかもこちらは、現在でも新品購入が可能ということも重要なポイント。
これらのパーツとは別に、ヘッドライト上部のバイザーやフロント前部のダクト。さらにシートなどはエタニティによるオリジナルとなる。年齢層が高いユーザーでも抵抗なく所有できるような、シンプルかつ所有感を満たしてくれる雰囲気。これこそが、ユーザーの高年齢化に伴う現代に求められる仕様ということだ。発売初年度から34年が経過したスクーターでも、こういった新旧融合で今の時代の最先端を走ることができるということを、このフュージョンは証明している。