掲載日:2018年05月25日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/田宮 徹
シート高は755mmで、先代スカイウェイブ400より45mmアップ。バーグマン400が海外仕様由来であることを感じさせる。ただし、シートの前側はスリムで、なおかつ足元の左右が大きくえぐられたカットフロアボードを採用していることから、シート前端に座れば意外と足着き性はよい。身長167cmの筆者でも、同時に両足の裏をほぼ接地させられる。さすがに、シートの後ろ側に座ったままだと、両つま先が辛うじて着く程度になるが、足着き性に関してよく考慮された設計である。
ライダー用バックレストは、3段階に位置を調整できるため、さまざまな体格のライダーにライディングポジションがマッチしやすい。シートは、幅広だった先代と比べればスリムで、クッション厚は増されているが、スポーティな乗り味を大切にした設計となっている。
またがってまず感じるのは、先代スカイウェイブ400に対して明らかにコンパクトなボディサイズ。スカイウェイブ時代は、車体後半の大きさが市街地などの狭い場所で気になることもあったが、バーグマン400にそのような心配は無用だ。ちなみに、ロングスクリーンを装備した冬仕様のスカイウェイブ400リミテッドABSと比べて、全長と全高はそれぞれ35mm短縮されている。
そして好印象のまま走りだすと、まずはその加速性能に驚かされる。スカイウェイブは、高回転高速域で伸びる特性だったが、バーグマンは低回転域で明らかに力強い。停止から100km/hに到達するのはごく短時間。大きな山や谷がないフラットでパワフルな加速が、この領域プラスαまで持続する。
加速力アップにまず貢献しているのは、吸排気系などが見直されたパワーユニット。最高出力こそ31馬力で同数値だが、その発生回転数は700回転引き下げられ、6300回転となっている。さらに、最大トルクは0.3kgmアップとなり、なおかつ200回転低い4800回転で発揮できるようになった。これに加えて、車体は先代スカイウェイブ400と比べて8~12kgも軽い。エンジン特性の改善と車体の軽量化というふたつの要素が、加速のよさに大きく効いている。
加速力が優れていると、郊外のワインディングなどではついスポーティに走らせてみたくなるが、バーグマン400はそのような走りにも応えてくれる。前輪大径化などの恩恵からか、操縦安定性は高めだが、鈍重なイメージは皆無。ライダーの着座位置が高くなり、車重が削減されたことで、スカイウェイブ400よりもはるかにキビキビと操れる。穏やさが魅力だったスカイウェイブとは方向性がだいぶ異なるが、欧州市場をターゲットとしたモデルらしさがあり、そして日本で乗っても気持ちよい。
前後のサスペンションは、スカイウェイブと比べてハードな傾向。首都高速などでは、路面の継ぎ目から受ける衝撃が大きめだが、動きが悪いわけではなく、これもスポーツ性の演出と考えれば十分に許容範囲だ。最低地上高値は同じだが、サスペンションがハードになったことで沈み込みが浅いためか、センタースタンドが接地するまでのバンク角は、スカイウェイブよりも増えている印象がある。
ブレーキは、アンチロックシステムを標準装備。レバーのタッチは前後ともカチッとしている。ABSの制御は秀逸で、ドライ路面かつ車体が直立に近い状態であれば、タイヤがスキール音を上げながらもロックしない状態をキープしてくれる。残念ながらウェット路面での試乗はできなかったが、日常ユースやツーリングにおいて頼れる存在となるだろう。
タンデムシートは、後端を盛り上げることで安心感を高めながら、大きな座面やグラブバーの装備で居住性を高めてあり、二人乗りも快適。高速巡航時に、胸元などに走行風の巻き込みがやや強めに感じられるところは残念だが、これはライダーの座高によって状況が変わる可能性もあり、さらに社外品のスクリーンが多く発売されれば、それらで改善することもできるだろう。
これまでのスカイウェイブ400と比べて、大幅にスポーツ性が増したところが最大のアピールポイント。車検がない軽二輪クラスの低めな維持費も魅力だが、バーグマン400 ABSに乗ってしまうと、「やっぱりビッグスクーターにはこれくらいの動力性能が欲しいよねえ!」と思ってしまう。
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