ベスパ 946 レッド

(VESPA 946)RED
VESPA

AIDS撲滅のためのひとつのシンボルとして登場した深紅のベスパをインプレッション

掲載日:2017年11月29日 試乗インプレ・レビュー    

取材・写真・文/森下光紹

ベスパ 946 レッド 試乗インプレッション

見た目のインパクトは特別な存在を表す
乗ってみればベスパらしさをあらためて感じる

ベスパ 946 レッドの試乗インプレッション

まず目に飛び込むのは、その真っ赤なボディカラー。(RED)とのコラボで実現したカラーは正しくイタリアンレッドだが、じつはベスパの標準色には、歴代あまり採用されていない色である。とくにオールドベスパはシックな無彩色が多く、色のバリエーションが多かったのは、1990年代に日本からの要望で復活したスモールボディの50Sぐらいだ。だからこそ、このモデルが特別な存在であることが強調されているのである。

ベスパ 946 レッドの試乗インプレッション

スマートかつグラマラスなボディは、思いのほか大柄である。かつてのスモールボディはもちろん、GSなどのオールドモデルと較べても大きなボディシルエットで、シート位置はかなり高い。じつはベスパのライディングポジションには独特のスタイルがある。シートには深く腰掛けるのではなく、背筋を伸ばしてスツールに腰を降ろすようなスタイルなのだ。それは男性ならスーツスタイル、女性のロングスカートでも気軽に乗り降りできるようなポジションとして設計されている。だから歴代どのモデルに乗っても基本的にシート位置は高いのだが、この946もまた、そんなベスパスタイルを受け継ぐデザインとなっている。

ベスパ 946 レッドの試乗インプレッション

テスターの身長は172cmだが、両足のかかとは地面から少し浮き気味だった(写真のライダーは身長175cm)。しかし、シッティングとスタンディングのポジション差が少ないために、乗り降りは極めてスピーディーでスマートだ。乗車姿勢も、背筋をピンと伸ばしたスタイルをキープすると、車体も安定して軽快なハンドリングを楽しめる。その姿勢なら、素直に下ろした両腕がハンドルを無理に抑えこむこともなく、細かい右左折時のセルフステアを邪魔することもなくなる。これが、ベスパを操るうえでとても重要なポイントだ。標準的な体格の日本人女性にはさすがにシートが高すぎる印象もあるが、姿勢を正した「ベスパ乗り」を習得すれば、エレガントに街を駆けることは可能だろう。ベスパのライディングポジションは、ハイヒールにスカートというスタイルも充分許容範囲なのだ。

ベスパ 946 レッドの試乗インプレッション

エンジンは、フラットトルクで扱い易いフィーリング。振動もしっかり吸収されていてボディから安っぽいビビリ音もない。モノコックボディは基本的にスチール製。樹脂部分が少ないので振動による異音は発生しにくく、走行騒音は極めて低いレベルにある。燃費もクラストップの実力となれば、ストレスの低いライディングが楽しめる。

サスペンションは前後共に減衰力が高めのしっかりしたセッティングで、ピッチングの少ない挙動に好感が持てる。試乗車がほぼ新車であることを考えると、もう少し動きの軽い状態に落ち着くと考えられるが、大きな段差を乗り越えた際に効率よく衝撃を吸収することから、硬く感じた乗り心地はバネレートが特別高いということではないと思えた。

ベスパ 946 レッドの試乗インプレッション

ベスパ946(RED)は、オールドベスパのデザインを踏襲しながら未来的なイメージも同時に表現している。その理由は、ベスパは第1号の登場時から、これまでになかった未来的なスタイルを身に纏っていたからだ。そのポリシーが受け継がれていくかぎり、ベスパのデザインは未来志向であり、他のスクーターには真似できないものなのである。

ベスパ 946 レッドの詳細写真は次のページにて

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