

掲載日:2014年05月01日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/田宮 徹
ふくらはぎが当たる部分をえぐったカットフロアボードと、前側が多めに絞られたシートのおかげで、足着き性は良好。身長167cmの筆者がシート最前部にまたがると、両足の裏が接地した。また、ライダー側シートのもっとも後ろに座ったままでも、両足の裏が1/3くらい接地する設定で、車重が161kgと軽いこともあって足着きに関する不安はない。
フロアボードの前方に、ライダーが足を投げ出せるスペースが設けられていることから、ライディングポジションにはかなり自由度がある。シートに深く腰掛ければ、ハンドル位置は適度に遠く、ヒジは曲がるが窮屈さはまるでない。またシートは、前席の後部からタンデム部にかけてかなり幅があり、ゆったりと乗ることができる。ただしそのぶん、乗っているときにもフロントに対してリアにボリュームがある印象を受ける。
乗りだしてまず感じるのは、車体の軽さ。「200」という数字に何をイメージするかはひとそれぞれだと思うが、「250に近い」と想像した場合、あまりの軽快性に驚くはずだ。スカイウェイブ250と諸元を比べると、車重は50kg以上も少ないのだから、当然の話ではあるが、押し歩きから低速での取り回し、市街地でのコーナリングまで、あらゆるシーンが楽に感じられる。
それに加えて、フロントまわりを中心とした車体のスリムさも、市街地での快適性につながっている。またがっている限り、もちろんロー&ロングを売りにするスカイウェイブ250よりも前後長がないことはわかるが、それが極端な扱いやすさにつながっている印象は少ない。対して車幅は、じつはスカイウェイブ250とバーグマン200でそこまで大きな違いはないのだが、フロントまわりがコンパクトな印象のため、狭い場所にもグイグイと入っていけそうな気になる。
さて、軽さに感動しながら街を流すと、次に驚くのはその加速性能だ。エンジンは、アイドリング時の振動が若干多めで、それが元気のよさを予感させるが、アクセルを開けていくと予想以上のパフォーマンスを発揮。騒音規制レベルが平成26年規制に合わせてあることから、かつての国内仕様スクーターが苦手としていた実用域で、加速が鈍ることもない。アクセル全開のフル加速では、7,500回転以上をキープしながら、一気に車速を伸ばす。メーターのレッドゾーンが9,500回転と考えれば、かなり高回転を保ち続けることがわかるだろう。
クローズドコースにおけるテストでは、最高速はメーター読みで130km/hを超える。このことから、国内の法定最高速度となる100km/h以下の領域では、まだまだ余裕がある状態。各社が販売する150スクーターの場合、機種によっては高速道路の使用はエマージェンシー扱いという印象だが、このバーグマン200なら日常的に高速道路を使うのもまったく問題ない。
コーナリングは、前述の軽さに加えて、ハンドリングが非常にニュートラルなのがうれしい。行きたい方向に対して、素直に車体が進んでいくので、とにかく扱いやすい。バンク角は、市街地で普通に走るぶんには、十分な量が確保されている。とはいえ、車体のコントロール性に優れることから、郊外の道ではつい深くまでバンクさせて楽しんでみたくなる。この際には少し注意が必要で、一般的な機種のようにセンタースタンドではなく、アンダーカウルが接地してしまうことがある。柔らかい樹脂で、目立たない部分なので、軽く擦るぶんには転倒につながったりキズがめだったりすることはないが、飛ばし屋さんは頭に入れておきたい。
ブレーキは前後ともディスク式で、レバータッチはカチッとしている。ただし、その中にもしっかりとしたコントロール性があり、気持ちよい加速を安心して楽しむことができる。
日本市場では、250ccまでが軽二輪クラスとなることから、「どうせ保険や税金などの金額が同じなら、フルサイズのほうが・・・」と考えるユーザーも少なくないだろう。しかし実際には、バーグマン200はスカイウェイブ250のエンジンをスケールダウンしたような機種ではなく、軽さや小ささが生みだす市街地での扱いやすさなど、まったく別の魅力にあふれたモデルである。それでいて、加速性能では250に勝るとも劣らない。
ゴージャス感を優先するなら250にアドバンテージがあるが、走行性能と扱いやすさで選ぶならバーグマン200が有利。しかも、車両価格も250に比べて安い。ユーザーを悩ませ、そして大いに楽しませる、新たな選択肢の登場を大歓迎したい。
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