BMW Motorrad C 650 GT
BMW Motorrad C 650 GT

BMW Motorrad C 650 GT – マキシスクーター誕生の意味

掲載日:2013年02月21日 試乗インプレ・レビュー    

取材・写真・文/小松 男  取材協力/BMW Motorrad Japan

長年拒み続けたセグメント
マキシスクーター誕生の意味

BMW が C 650 GT / C 600 Sport という2台のスクーターモデルを発表した際、「世界各国で都市化が進む中、マキシスクーターの登場は必然的だった」といった趣旨のリリースが届いた。このことに間違いはないだろう。しかしここで少し書き加えたいと思う。

かなり前の話になるが、BMW モトラッド本社のスタッフに「BMW はマキシスクーターを作らないのだろうか。出したら間違いなくヒットすると思う」といったことを話したことがある。彼は「ビッグスクーターには“駆け抜ける喜び”が感じられないと思う。だから BMW モトラッドはマキシスクーターを作ることはしないだろう」と応えたのだ。当時は現在と首脳陣が違ったし、確かに世の中の情勢も今とは異なるものだ。しかし私はマキシスクーターの登場を確信していた。以前 C1 (125 / 200cc のシティコミューター) を作ったこともあることだし、自分のように要望を伝えるコンシューマー、そして内部の人間も少なくないはずだ。最終的に BMW のプロペラマークに恥じないモデルが作れればいいのである。そんな話をした数年後には、S 1000 RR や6気筒エンジンモデルが登場することになる。これまでの BMW モトラッドでは想像すらできなかったモデルが次々と現れたのだ。その頃になると、もちろん2台のマキシスクーターの噂は流れていたのだが、もっと重要なことは EV スクーターの存在だった。

ゼロ・エミッション (無公害) を目指す企業概念を持つ BMW では4輪も2輪もそれを目指したモデルを開発していた。その中のひとつとして、EV バイクがあったのだが、大型のバッテリーを積載することを考えると、マキシスクータータイプのパッケージングが一番効率がよく纏められるということになったのだ。つまり現在登場したマキシスクーター2モデルは、今後の登場するであろう EV スクーターへの布石だとも言えるだろう。

BMW Motorrad C 650 GT 特徴

ブランニューモデルに
あえて「GT」のイニシャルをつけたわけ

C 650 GT 写真

C 650 GT 写真

C 650 GT 写真 C 650 GT 写真

横道にそれてしまったので話題を C 650 GT に戻そう。C 650 GT と C 600 Sport は、エンジン、フレーム、駆動系、足まわりなど、基本構成をまったく同じとする兄弟というよりも、ほぼ双子モデルととれる。とはいえ「スポーツ」と「GT」と棲み分けを図るためのコンポーネントの違いは明確なものとしている。

C 600 Sport はアグレッシブなライディングプレジャーを得るためのタイトなポジションを持たせ、なおかつシャープなデザインを全面に押し出すためにシート下ラゲッジスペースをやや狭いものとした (それを解決するためにフレックスケースが装備された)。対して C 650 GT は、グランツーリズモのイニシャルに恥じないよう、優雅かつダイナミックなライディングを可能としているのだ。

デザイン面は、フェイスラインからフットスペース脇のサイドパネル、テールにかけて単色でカラーリングし、なおかつボリュームを持たせた造詣を持たせ、とても重厚なものとしながらも躍動感溢れるものとしている。これによりシート下のラゲッジボックスに約 60 リットルもの広大なスペースを確保することができた。前部を大型のヘッドライトパネルとし、C 600 Sport とは明らかに異なった印象を持たせた。ウインドスクリーンは快適な走行を確保するために広く、そして長くされ、走行中にもスイッチひとつで調整が可能な電動スライドタイプとした。パッセンジャーのフットレストが折りたたみ式バースタイルではなく、広いステップボードを用意している点でも、タンデムで長距離ツーリングを楽しめる GT ならではの使い勝手を考慮した故の措置であることは明白だ。

ポジションはハンドルが高くそしてライダー側にセットバックされており、シートも若干低めでバックレストを装着した楽に着座できるものにされた。これらすべてを総合すると、やはり BMW モトラッドの GT らしいパッケージングになっていることが分かる。…この記事の続きをバージン・BMWで読む

画像をクリックするとフォトTOPICSが表示されます

SPECIFICATIONS - BMW Motorrad C 650 GT (2012)

BMW Motorrad C 650 GT 写真

価格(消費税込み) = 115万5,000円

ついに日本に上陸した BMW モトラッドのマキシスクーターのひとつ、C 650 GT。快適なロングツーリングを約束する装備を有するこのモデルは、まさしく BMW らしい一台と言える。

■エンジン = 水冷4ストローク並列2気筒4バルブ
■総排気量 = 647cc
■ボア×ストローク = 79×66mm
■最高出力 = 44kW(60ps)/7,500rpm
■最大トルク = 66Nm / 6,000rpm
■バルブ駆動 = DOHC カムチェーン駆動
■車両重量(走行可能状態) = 261 kg
■サイズ = 全長2,218 × 全幅 916 × 全高 780 mm

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索