ヤマハ ドラッグスター400 長期インプレ vol.02【通勤・通学・街乗り編】

掲載日:2016年03月17日 トピックス    

取材・文/西野 鉄兵(『アウトライダー』編集部)

街中走行も気兼ねなく行なえるサイズとパワー

お金にまるで余裕のない20代の筆者は、バイク選びの条件として、「1台で街乗りからツーリングまで不満なく行なえる」ということを大前提としている。維持費や日々の置く場所にも困らなければ、ツーリング用と通勤などの街乗り用などに分けられるが、筆者の場合まだまだ憧れでしかない。

今回は通勤で日々、東京都内を乗っていた結果をご報告したい。結果から言うと、ドラッグスター400は、充分合格点の印象だった。

パワーは通勤など街乗りではもてあますほどある。下道ではどんな流れのスピードにも付いていけるし、余裕があり、追い越しもすいすい。

メーターがタンクに付いていることによる視界の広さもいい。ポジションも直立に近く、普通の椅子に座っているようで無理がない。視界が広いことにより、目の前の交通状況の把握がしやすく事故を起こしにくくなる。

ちょっとした欠点は、信号が変わった瞬間などの発進時に125ccスクーターや250ccネイキッド、モタード車には遅れをとってしまうこと。車重が234kgあり、エンジンの瞬発力もあまりないため、スタートダッシュは得意ではないのだ。

街中ではとっさのブレーキが要求される。ドラッグスター400は、前輪はシングルディスクブレーキ、後輪は大型のドラムブレーキが採用されている。スムーズな加速特性と相性のいい適度な効き方をするブレーキだ。ガツッと効きすぎるわけでもなく、効かないわけでもない。とても標準的で制動距離を把握しやすい効き方をする。

取り回しのしやすさも普段使いでは重要なファクター。押し始めはずっしりとした重さを感じるが、重心が低いので、安心感がある。バランスをくずして反対側に少しくらい傾いても成人男性なら耐えられるだろう。また、ハンドルがよく切れるので、長い車体ながら意外と小回りが利く。ただ、一定以上切りすぎると、ガクッと最大角まで切れてしまう場合があるのであくまでも慎重に行なうことをおすすめする。

取り回しでバックしたいときに、慣れていなければ、またがった方がやりやすい。シート高は低いので(660mm)、しっかり踏ん張りながら後ろに戻せる。

都心の有料駐輪場に駐めてみた。大柄ながら、中型以上のバイク駐輪場なら普通におさまる。気をつけたいのは、スタンドを出すとかなり左に傾くということ。写真のように左側に柱などがある場合は充分余裕を持って進入しよう。

バターナイフ形状と呼ばれるサイドスタンド。すっと横に伸びてスタイリッシュだ。左に大きく傾くのでスタンドをかけた際の安定感は高い。注意点は上げるか下ろすかの2段階でなく無段階だということ。気にせずやると、中途半端な状態でスタンドがかかってしまうことがある。

ハンドルロックとイグニッションは一体型。燃料タンクとフロントフォークの間にある。

ヘルメットホルダーがリアフェンダーの左側に標準装備されている。メインキーで開閉できるシンプルなもの。雨が降るとヘルメットの中が洪水してしまうので、長時間の駐輪ではご注意を。

街中の走行で気をつけること

ハンドル幅が広いので、すり抜けは得意ではない。また、それでも脇を抜けようとハンドルを通すのに夢中になっていれば車体が長いので、マフラーをぶつけかねない。無理せず走行中は基本的にクルマの後ろを走ることをおすすめしたい。

段差で底をするのにも気を配る必要がある。ドラッグスター400の魅力は、ロー&ロングのビッグボディ。それゆえに最低地上高は140mmまで抑えられている。エンジン下部のオイルクーラーに直撃したら、修理の代償が大きいので無理は禁物だ。

ミラーが外側に付いていると感じる人も多いはず。前方の風景を広く見られるよう優先して設計されているので、意識しないと後方の確認ができない。特に前傾姿勢を取ると見にくくなる。街中では姿勢を正してシートの後ろ側にどっしりと構えて座るといいだろう。

実際に計測した街乗り燃費

ストップ&ゴーが多い街乗りでの燃費は、計測したら約17km/L(レギュラーガソリン)だった。ガソリンメーターの針がエンプティゾーンにさしかかったところで、給油をすると約11L入った。前回満タンにしてからの走行距離は約190km。タンク容量は15Lなので、200km走ったら給油を考えれば、まず問題ないだろう。ツーリングではもっと延びるはずだ。

以上が、これまで通勤・街乗りで気になった注意点だが、さまざまな車種と比較すれば、先に書いたように充分合格点で、街中でも乗りやすい車両といえるだろう。

次回以降はツーリングのあらゆる状況可で、その真価を探る。街乗りとツーリングの両刀づかいの一台として成り立つのか、細かくチェックしていこう。

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