ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO
ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO

ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO – ワンオフとマスプロの利点を融合

掲載日:2016年06月14日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  写真・動画/山家 健一  衣装協力/HYOD

ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVOの試乗インプレッション

ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVOの画像

EVO80&リジッドフレームが織りなす
古典的かつスポーティな味わい

グースネックからリアエンドまで上下に分かれて伸びる三角形のフレームの中に鎮座したピカピカの1340cc EVOエンジン。よく見るとフロントフォークは機械仕掛けのスプリンガーで、リア側はスプリングすら持たないリジッド。そして、前後にはバルーンタイヤを履いたワイヤースポーク16インチホイールとくればもう、ビンテージカスタムマニアには堪らないだろう。ロードホッパーを見ていると、シンプルな中にも徹底的に細部まで磨き上げた、作り手のこだわりの美学が伝わってくる。

跨ってみると、ひと際低いシート高にまず安心。低めに構えたハンドルはトップブリッジに直付けされたローハンドルタイプで、これがまたマニアック。ステップ位置はかなりフォワードタイプだが、個人的にはもう少し後退していたほうが楽かな、と思う。まあ、ライポジについては後でいくらでも好みにカスタムできるはずだ。

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ミニマルな特注スイッチボックスにあるセルボタンを押すと、意外とスムーズにエンジン始動。アイドリングもすぐに安定して、クラシックハーレーを思わせる独特なエンジンの鼓動感が気分を盛り上げる。乾いた排気音とオープンプライマリーならではのメカノイズがまたいい感じだ。キャブレター仕様ということで、始動性や極低速でのぐずりを懸念していたが心配ご無用。インジェクション開発で培った電子制御技術がフィードバックされているということで、昔のキャブ車とは別物の素直さがある。

ドライクラッチの感触を確かめながら、そろそろと走り出してみる。40km/hぐらいで流しながら慣れてきたところでスロットルを開けると、一瞬の間を置いて弾けるトルクで加速していく。強制開閉キャブならではの腹にズドーンとくる分厚い加速フィールが堪らない。さすがはハイパフォーマンスで鳴らすS&S製だけのことはあり、STDのEVOエンジンよりレスポンスも良い気がする。もしかすると、後輪が路面を蹴るリジッドならではのダイレクト感がそう思わせているのかもしれない。もちろん、現代のツインカムのパワフルで滑らかな加速とは違うが、ちょっと粗野な感じが逆に心地よい。

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気になるサスペンションだが、スプリンガー&リジッドフレームの組み合わせはけっして乗りにくくはない。部材そのものが重いスプリンガーの操舵感は、まったりとしてストローク量も少なめだが、その重厚なハンドリングも慣れると味わい深い。コーナリング速度によって、バンク角と操舵角を微妙に調整しながら曲がっていく感じがなんともレトロチックで楽しいのだ。路面のギャップを拾うとフォークトップがぴょこぴょこ持ち上がるアクションも実に興味深く、そのメカメカしい風体から蒸気機関車を連想してしまう。

リジッドフレームも適度なしなりによって路面の凹凸を吸収するため、乗り味は想像しているよりも柔らかい。大きなギャップは踏まないよう注意すべきだが、ムリをしなければ常識的な速度でコーナリングも楽しめる。ブレーキも強力とは言えないが、この車体にして必要十分な効き具合だろう。つまり、ロードホッパーとしてのスポーティな乗り味はちゃんと存在しているのだ。

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職人技とアートの融合。ノスタルジックで新しくもあり、古典的でスポーティ。いろいろな表現を当てはめてみようとするが、やはりロードホッパーはそれ以外の何物でもない。古き良き時代のビンテージスタイルを、現代の技術と美的センスでまとめあげた個性あふれる“鉄馬”である。

ロードホッパー Type5 EVOの詳細写真は次のページにて

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