掲載日:2016年12月28日 トピックス
取材協力・写真/NEXCO東日本 関東支社
取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之 構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
2015年ゴールデンウィークに発生した関越自動車道の渋滞
年末年始やゴールデンウィーク、お盆休みなど、長い休みには必ずと言っていいほど発生するのが高速道路の長~い渋滞。いかにバイクといえど渋滞には遭遇したくないものですが、完全回避は至難の業。そこで、渋滞とは何かを理解し、渋滞を乗りこなす方法はあるのかを、日本で唯一の渋滞予報士であるNEXCO東日本・関東支社の外山敬祐さんに聞いてみました。
NEXCO東日本 関東支社では関越道・東北道・常磐道・圏央道・東京湾アクアラインなどを管轄し、常時チェックしている。
そもそも高速道路における渋滞とはどんな状態をいうのでしょうか。「実は路線によって違うんです」と外山氏。NEXCO各社が管理する高速では、一部の路線を除き、時速40km以下で低速走行状態のことを渋滞というそうです。ちなみに首都高速では時速20km以下が1.5km以上かつ30分以上を渋滞と呼ぶそうで、同じ高速といっても渋滞の定義はずいぶん違うものなんですね。
その渋滞の原因ですが、NEXCO東日本関東支社管内では約8割が交通集中によるもの(いわゆる自然渋滞)なんだとか。事故によるものは約15%、工事にいたっては2%ほどしかありません。イメージと違って事故渋滞や工事渋滞って意外と少ないんですね。ちなみに過去最大の渋滞は1995年12月27日、名神高速秦荘PA付近から東名高速赤塚PA付近までの154kmという恐ろしい長さのもの。帰省の交通集中と大雪が重なった結果のようです。
「渋滞予測は渋滞回避をしてもらうことが目的なのでハズレてもいけない、当たってもうれしくないんです」と外山さん
自然渋滞のうちの6割がサグおよび上り坂で発生しているんだそうです。サグとは下り坂から上り坂に変わる部分のことで、ドライバーが下り坂から上り坂に路面状況が変わったことに気づかずに走行し、無意識のうちに速度低下をしてしまう場所のことです。車速が落ちると後続車との車間距離が短くなり、後続車がブレーキを踏む。それが後ろに次々と伝達され、渋滞になってしまうのです。
要するに、流れが悪くなった場所での不用意なブレーキが渋滞につながるわけで、もしかすると「クルマの流れが遅いな~」と頻繁に車線変更を繰り返して抜いていくバイクがクルマにブレーキを踏ませてしまうことも。渋滞ライドのお作法としては、バイクが渋滞の原因にならないよう、スマートなライディングを心掛けたいものです。
ちなみにゴールデンウィークは曜日の配列が大きく影響し、年末年始やお盆の渋滞は曜日に加え日付による影響も受けやすい傾向にあるなど、交通混雑期の渋滞でも特色が違うとのこと。意外なところでは、アウトレットモールなど大規模商業施設の初売りやバーゲンなども渋滞への影響が大きいそうです。「お出かけの際には、商業施設や周辺のイベント状況を考慮して行った渋滞予測をご活用いただければ」と外山氏はアドバイスしてくれました。
高速道路での最長渋滞は1995年12月27日の名神高速・東名高速での渋滞。その距離はなんと154キロ! 交通集中と大雪、それに伴う事故も重なり渋滞が巨大化したといわれています。3位の129.7キロの渋滞は夏休みの時期に。4位の126.0キロの渋滞はゴールデンウィークに発生していて、雪が降らずとも100キロを超える渋滞が発生することがわかります。
記録的な渋滞が1995年前後に発生しているのもポイントでしょう。この時代は国内の乗用車保有台数が4000万台を超えていて、車が多かった時代といえます。なお、2014年のデータでは乗用車保有台数は3900万台と減少しており、毎年緩やかに減っているようです。
道路の拡幅や迂回ルートの案内、車速回復を促す標識の設置といったNEXCO各社の渋滞対策に加え、車両台数の減少やETCの普及などにより、記録的な渋滞が今後発生する確率は低くなっています。とはいえ、その可能性はゼロではありません。最も効果的な渋滞対策は、渋滞予測を活用し走行計画を立てること。バイクであっても、出かける前には渋滞予測を事前にチェックしておくことをおすすめします。
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