掲載日:2025年06月13日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
レプリカブームだった80年代後半。ルーツがロードレースでもモトクロスでもない、大自然の砂漠を走るラリー用マシンのレプリカがついにヤマハから生まれた。
当時、サハラ砂漠が舞台の“パリ・ダカ―ルラリー”、オーストラリアの“ウインズサファリラリー”など海外ラリーが盛んで、バイク雑誌はもちろん、テレビで放送されるほど人気を集めていた。その中にエジプトを11日間かけて走る“ファラオラリー”があり、冒険家の風間深志さんが俳優の根津甚八さんやミュージシャンの宇崎竜童さんなどとチーム「MAC」を結成。水冷2スト並列ツインエンジンを載せた250ccバイクTDR(Twin Dirt Racer)で参戦、話題となった。
1987年のファラオラリーでクラス優勝を果たしたTDR250が、翌年レプリカとなって登場。320mmの最低地上高、アップマフラー、タンクと一体化したカウル、大きなホイールトラベル、モノクロスサスなどトレールモデルとしてのポテンシャルはもちろん、ダブルクレードルフレームにTZR250譲りの出力45PSを発揮する強力な2ストエンジンを搭載していた。さらにオンロードサイズのフロント18インチ、リア17インチタイヤを装着、オンもオフも速いスーパーマシンだった。
ところが現実は、林道では車体が重すぎる、峠を攻めるのは車高が高すぎる……などなど、日本の道路事情に合わなかったのか、それとも使いこなせなかっただけか、セールスは振るわず。後継モデルが出ることなく消えてしまった。モタードとアドベンチャーをミックスしたようなスタイル、いまなら高い評価を受けていたかも?
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