【スズキ GSX-8S試乗記】鼻を抜けるような爽快感を得られる、快感ライトウエイトスポーツ!!

掲載日:2026年07月12日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/小松 男 衣装協力/Alpinestars Japan

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SUZUKI GSX-8S

スズキのミドルクラスロードスポーツ『GSX-8S/8R』が、この春マイナーチェンジを受けて登場した。最大のトピックはE10ガソリンへの対応。そのほか車載式故障診断装置(OBD-Ⅱ)の監視要件への適合やLEDターンシグナルの採用、新色の追加など、時代に合わせたアップデートが施されている。変更点だけを見れば小幅にも映るが、その背景にはGSX-8シリーズが世界市場で担う役割と、スズキが描く今後の展望が見え隠れする。今回はアップデート内容を紐解きながら、改めてGSX-8Sというモデルの魅力を探っていきたい。

スズキが満を持して送り出した、
新世代ミドルスポーツの完成形

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2023年、スズキは新たなミドルクラス戦略の幕開けとなる2台を市場へ送り出した。アドベンチャーモデルのVストローム800DEと、ストリートファイターのGSX-8Sである。両モデルに共通するのは、完全新設計の776cc並列2気筒エンジンを核とした新世代プラットフォームだ。当時としては久々となるスズキ製新開発ミドルユニットの登場により、日本はもちろん、欧州をはじめとする海外市場でも大きな注目を集めた。

以降、このプラットフォームは着実にラインアップを拡充していく。2024年にはオンロード寄りのVストローム800とフルフェアリングスポーツのGSX-8Rが加わり、今年はネオクラシックモデルとなるGSX-8T/8TTもデビュー。スポーツ、ネイキッド、アドベンチャー、さらにはヘリテージテイストまでを網羅する一大シリーズへと成長を遂げた。

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この展開を見れば、スズキがこの並列2気筒エンジンを単なる新型ユニットではなく、今後の主力となる世界戦略パワーユニットとして位置付けていることは明らかだ。実際、日本だけでなく欧州でも高い評価を獲得しており、とりわけGSX-8Rはワンメイクレースが開催されるなど、そのポテンシャルはレースシーンでも実証されつつある。

ちなみに余談ではあるが、このエンジンのルーツは10年以上前、2013年の東京モーターショーにコンセプトモデルとして出展された『リカージョン』まで遡る。当時はターボチャージャーを備えた意欲的なコンセプトマシンとして注目を集めたが、その並列2気筒エンジンは市販化を見据えた開発が続けられ、最終的にGSX-8シリーズとVストローム800シリーズへと結実。長い年月を経て磨き上げられたからこそ、現在では世界中のライダーから高い評価を受ける完成度の高いパワーユニットへと成長を遂げたのである。

そして成熟期を迎えた今シーズン、GSX-8S/8R、そしてVストローム800シリーズにはブラッシュアップが施された。変更内容こそ決して大掛かりなものではないが、E10ガソリンへの対応をはじめとするアップデートには、これから先も世界市場の第一線で戦い続けるための明確な意思が感じられる。では、その進化の中身を詳しく見ていこう。

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スズキ GSX-8S 特徴

グローバルな視点で見ると
実は遅れをとっている日本の燃料事情

今回取り上げる新型GSX-8Sをはじめ、今シーズンに登場したGSX-8R、Vストローム800、Vストローム800DEの大きなトピックとなっているのが、「E10ガソリン対応」だ。

日本ではあまり耳にする機会のない言葉だが、E10とは植物由来のバイオエタノールを10%配合したガソリンのこと。バイオエタノールは、トウモロコシやサトウキビなどの植物資源から作られるアルコール燃料で、植物の成長過程で二酸化炭素を吸収することから、燃焼時に排出されるCO₂を実質的に相殺できるカーボンニュートラルな燃料として注目されている。つまりE10は、環境負荷の低減を目的とした次世代燃料のひとつというわけだ。

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とはいえ、日本ではまだ馴染みが薄い。ところが海外へ目を向けると事情は大きく異なる。欧州をはじめ、多くの国ではE10ガソリンの普及がすでに進んでおり、今や"対応していて当たり前"とも言える存在になっている。

考えてみれば当然の話だ。現在の二輪車は、日本だけでなく世界中で販売されることを前提に開発されるグローバル商品である。海外市場で戦う以上、E10対応は避けて通れない要件のひとつになっているのだ。

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一方、日本でも導入に向けた動きは着実に進んでいる。国のロードマップでは2028年に沖縄で先行導入を開始し、2030年度には全国で本格供給が始まる予定だ。そうした将来を見据え、スズキは今回のGSX-8シリーズだけでなく、マイナーチェンジを受けたGSX-S1000GXや、発表されたばかりの新型GSX-R1000でもE10対応を進めている。今回のアップデートは単なる年次改良ではなく、将来の燃料環境を見据えた布石という側面も持ち合わせているのである。

そして、ライダーとして最も気になるのは「E10対応になったことで走りに変化はあるのか」という点だろう。結論から言えば、その心配はまったく不要だった。続いては、実際にGSX-8Sへ試乗して感じた印象をお伝えしていこう。

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スズキ GSX-8S 試乗インプレッション

押しの強いトルクと軽快さ
これこそが最大の武器となる

少々お勉強臭くなってしまったが、ここからはいよいよ新型GSX-8Sの実車に触れていくことにしよう。

ひと目見た印象は、ミドルクラスとしては実にコンパクトだということ。今回のマイナーチェンジではスタイリング自体に変更はないものの、トレンドカラーの採用や燃料タンク上に追加された「E10ガソリン適合デカール」によって、新型であることが分かる。

跨ると、絞り込まれたスリムなボディラインのおかげで足つきは良好。押し引きの段階から車体の軽さを実感でき、取り回しに気を遣う場面はほとんどない。スズキのイージースタートシステムによりセルボタンをワンプッシュすると、775cc並列2気筒エンジンは軽快に目を覚ます。

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私はGSX-8Sのライディングポジションが気に入っている。ステップ位置は高すぎず、下半身は自然体で構えられる一方、バーハンドルはほどよく前傾姿勢となる位置にセットされているため、フロントへ適度に荷重を掛けやすい。市街地での小回りから、高速道路でのクルージング、ワインディングロードまで、あらゆるシーンで扱いやすさを感じられる絶妙なポジションだ。

基本設計を共有するGSX-8T/8TTと比べても、GSX-8Sは燃料タンクがスリムに仕上げられているため、ニーグリップがしやすい。その恩恵はコーナーでも大きく、外膝でしっかりと車体をホールドしながら、安心感を持って旋回へ持ち込める。

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かつてロードスポーツモデルと言えば4気筒エンジンが王道という時代もあった。しかし現在では、低中回転域の扱いやすさと豊かなトルクを武器とする2気筒エンジンが世界中で支持を集めている。GSX-8Sも、その魅力を存分に味わえる一台だ。

特に気持ち良いのは4000〜7000rpm付近。ツインらしい鼓動感と押し出し感のあるトルクを活かしながらリズム良く走らせることができ、公道では必要十分以上の速さを見せてくれる。高回転まで引っ張らなくても気持ち良く加速していくため、速度を競うのではなく、エンジンを使い切る楽しさを味わえるのである。

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そして、このエンジンの魅力をさらに引き立てているのが軽快さを存分に楽しむことが出来る車体だ。車両重量は202kgだが、走り出してしまえばスペック以上に軽く感じられるのである。トルクフルなエンジンとの組み合わせにより、アクセルを開けるたびに車体がスッと前へ出ていく感覚は実に爽快。

さらに、必要以上に車体を寝かし込まなくても自然と向きを変えてくれるため、ワインディングではテンポ良くコーナーをつないでいける。このライトウエイトスポーツフィーリングこそ、GSX-8S最大の魅力と言っても過言ではないだろう。

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ライディングモードは、つい最もスポーティなAモードを選びたくなる。しかし、1週間ほど乗り込んでみると、私が最も多用していたのはBモードだった。レスポンスがわずかに穏やかになることで、中回転域を使ったリズミカルな走りとの相性が非常に良く、公道ではこちらの方が心地良く感じられる場面も多い。また、双方向クイックシフターを任意でOFFにできる点も面白く、ライダーの好みに合わせてフィーリングを選べる自由度の高さも魅力のひとつだ。

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なお、今回の注目ポイントであるE10ガソリン対応によるライディングフィールの変化についてだが、今回の試乗では体感できるものではなかった。それもそのはず、使用した燃料は従来どおりのハイオクガソリンだからだ。後日インタビューの機会に恵まれたGSX-R1000開発陣の話では、E10使用時は厳密には最高出力などに差が生じるものの、公道でその違いを意識するような場面はまずないという。

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将来的にE10ガソリンが普及すれば、環境負荷の低減という大きなメリットも期待される。近年、スズキは鈴鹿8時間耐久ロードレースにおいて「CN(カーボンニュートラル)チャレンジ」と題した取り組みを進めているが、今回のE10ガソリン対応も、そうした環境技術への取り組みと歩調を合わせるものと言えるだろう。

そして、そうした時代の変化を見据えながらも、GSX-8S本来の軽快で爽快な走りは何ひとつ損なわれていない。むしろ、この先も内燃エンジンの魅力を長く楽しんでいくための一歩として、今回のマイナーチェンジは歓迎すべき進化だったと言える。

スズキ GSX-8S 詳細写真

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E10ガソリン対応の775cm³並列2気筒エンジンを搭載。270度クランクが生み出す鼓動感と低中回転域からの力強いトルク、そして扱いやすさを高次元で両立している。

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SHOWA製SFF-BP倒立フロントフォークを採用。軽快なハンドリングとしっかりした接地感を両立し、市街地からワインディングまで幅広いシーンで安定した操縦性を実現する。

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アルミ製スイングアームと180サイズのリアタイヤが生み出す高い接地感も魅力。軽快なハンドリングでありながら、アクセルを開けた際には安心感のあるトラクションを味わえる。

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縦型LEDヘッドライトを中心に構成されたシャープなフロントフェイス。ストリートファイターらしい精悍な表情がGSX-8Sの個性を際立たせている。

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電子制御システム「S.I.R.S.(スズキインテリジェントライドシステム)」の各種設定を左手側から操作可能。メニュー操作は左手親指だけで完結でき、走行中の扱いやすさにも配慮されている。

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5インチフルカラーTFT液晶ディスプレイを標準装備。昼夜を問わず視認性に優れ、必要な車両情報を分かりやすく表示する。

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容量は14L。今回のマイナーチェンジでは、タンク上部にE10ガソリン対応を示すデカールが追加され、新型であることを見分けるポイントにもなっている。

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シャープに絞り込まれたテールセクション。シートカウル下部から伸びるステーにLEDテールランプ、LEDターンシグナル、ライセンスプレートホルダーをレイアウトする。

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高さ810mmのライダーシートは足つき性と長時間の快適性を両立した形状。スリムな車体との組み合わせにより、停車時の安心感にもつながっている。

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ライディングポジションはスポーティでありながら窮屈さは少なく、膝の曲がりも比較的緩やか。双方向クイックシフターを備え、クラッチ操作を減らした軽快なシフトチェンジが楽しめる。

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リンク式リアサスペンションを採用。リアタイヤの接地感、状況がライダーに伝わりやすく、安心して車体をバンクさせることが出来る。

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パッセンジャーシート下にはETC車載器や小物を収納できるスペースが確保されている。シート裏には車載工具と荷掛けベルトも備えている。

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