台湾発のカスタムバイクイベント「Speed and Craft」レポート

掲載日:2025年05月12日 フォトTOPICS    

取材・写真・文/河野 正士

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Speed & Crafts(スピード&クラフツ)は、2年に1度、台湾の都市/台北で行われるカスタムバイクのイベントだ。初開催は2023年、そして今年2025年2月末に2回目となるイベントが開催された。ここではその様子をリポートし、台湾のカスタムバイク事情を紹介する。

世界に駆ける台湾発のカスタムバイクビルダーを発掘する

Speed & Crafts(スピード&クラフツ)を主催するのは、台湾をベースに世界中で活動&活躍するカスタムバイクファクトリー&カスタムパーツブランドのRough Crafts(ラフ・クラフツ)だ。その代表であり、カスタムバイク&カスタムパーツのデザイナーであり、プロデューサーであるウィンストン・イェが、台湾国内のカスタムバイクビルダーたちはもちろん、台湾国内の二輪車ブランド、輸入車および輸入二輪用品のディストリビューターを巻き込み、イベントを開催している。

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台湾は、バイク天国として知られている。九州ほどの大きさの土地に、4つのドメスティック・バイクブランドが存在し、4つの日本ブランドも進出。ヤマハは工場やR&Dも構えている。そして多くの人たちが日常の移動手段としてスクーターを利用している。ユニークなのは、戦後に早く道路整備が進んだことから、日本や欧州でも普及している小径ホイールの小排気量スクーターが普及していることだ。プレスフレームに水平シリンダーのミッション付きエンジンを搭載し大径ホイールを装着したバイクが主流の東南アジアのバイク事情と、大きく異なる。当然、スクーターのカスタムシーンは分厚い。

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Speed & Craftsの主催者であり、Rough Craftsの代表でありデザイナーであるウィンストン・イェ。世界を舞台に活躍し、台湾のカスタムバイクシーンを牽引する人物だ。

しかし台湾で、排気量250cc以上の二輪車の輸入が解禁になったのは、台湾のWTO(World Trade Organization/世界貿易機関)加入後の2002年以降から。また二輪車の高速道路走行が排気量などの条件付きで解禁になったのは2007年以降であり、排気量による制限は現在も続いている。また日本とはシステムは異なるが、車齢によって車検制度があり、その結果としてカスタムに対する自由度も制限される。そんな諸事情もあり、台湾におけるバイクのカスタムシーンは、いまだ醸造中なのである。

その台湾カスタムシーンの発展のために計画されたのだSpeed and Craftだ。世界のカスタムバイクショーを渡り歩いたウィンストンが練りに練ったコンセプトと展示方法で、会場には5000人の来場者を集めた。コアなバイク乗りはもちろん、家族ずれやカップルも多く、年齢層も若い。日常生活にバイクが染み込んでいる台湾だけに、その可能性を強く感じたイベントだった。

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S.M.F Custom Bikeが制作したBMW R80ベースのカフェレーサー。ドゥカティ・モンスター用フロントフォークや三つ叉類を移植するとともに、スタンダードのリアドラムブレーキを、オリジナルパーツでディスクブレーキ化している。

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ホンダのクラシカルな単気筒モデルCB400SSをベースにしたチョッパー。車両を制作したREZ Industriesは、フレームからカスタムバイクを制作するのはこれが初めてであり、制作を進めながら多くのことを学んだという。

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オリジナルの樹脂外装や外装キットを製造販売しているHoo-BueのヤマハXSR900。フロントカウル、アンダーカウル、シートカウル、ハンドルがセットになっている。

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ZeroVectorが制作したこのマシンは、ベースマシンはスズキBS125となっているがそれが使われたのはエンジンのみ。フレームやスイングアームはオリジナル、フロント周りはKymcoからの流用。マンタの羽根からインスピレーションを得た外装類はカーボン製だ。

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NemotoとJZO Craftsの共同作品。ベースバイクはホンダDax125だ。純正のプレスフレームをベースにしながら、シートカウルやマフラーエンドを兼ねるリア周りをアルミで制作。シート下に、燃料タンクとレーシングブロス製のエアサスペンション用タンクが収まっている。

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Faber StudioとRough Craftsが製作したヤマハ・テネレ700をベースにしたフラットトラッカー・カスタムだ。外装類はモトクロッサーYZ用を中心に、板金加工で制作したアルミ製燃料タンクやサイドカバーをプラス。前後サスペンションはオーリンズ製で、ローランドサンズデザイン製の19インチホイールをセット。

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先に紹介したヤマハXSR900と同じ、樹脂外装のスペシャリストHoo-Bueが制作したカワサキZX4RR。

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GD Customが制作したスポーツスターをベースにしたチョッパーは、今年のSpeed and Craft/フリースタイル部門で最優秀賞を獲得した。真鍮やアルミキャスティング、レザーや木材などさまざまな素材を使用し、アイディアに溢れたディテールを造り上げている。

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YAMAHA SR150をベースにしたビンテージスタイルのスクランブラーカスタム。オーナーが、英国留学経験があることからこのデザインを造り上げたという。スタンダードフレームをベースにリア周りを再構築。ホンダCB100用燃料タンクをアレンジして装着している。

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CNCのスペシャリストであるKuo CNC Designが制作したBMW R NineTには、オリジナルで設計&制作したCNCパーツが満載。左右シリンダーのタペットカバーには日本のアニメをモチーフにした図案が入っているほか、ホイールから何から、ハイクオリティ&個性的なデザインで仕上げられている。

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Motegi Motoが制作したBMW S1000RRカスタム。オーリンズ製サスペンションやブレンボ製ブレーキシステム、アルファレーシング製パーツなど、カスタムバイクと言うよりレーシングバイク的に仕上げられている。

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Cowboys Companyが製作した、BMW R11RSベースのマシン。フロントにテレレバーを装着したベースマシンをテレスコピックフォークに変更。フロントフレームおよびリアフレームを大きく造り替えてクルーザースタイルへと変貌を遂げている。

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これはSpeed and Craftのスポンサー企業のひとつである、今や台湾最大のバイクブランドとなったSYMの出展車両。2024年にブランド創立70周年を記念し、アメリカユタ州ボンネビルで開催されている「ボンネビル・スピードウィーク」にチャレンジした車両だ。500ccクラスの4ストロークCVT車両のレコード記録をマークしたという。

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Speed and Craftのスポンサー企業のひとつであるハーレーダビッドソンは、カスタムコンテスト「カスタム・キングス・アジア」を開催。多数のカスタムHDが会場に展示された。このSMF Customが制作したXR1200ベースのマシンはハンドメイドのアルミ製外装に加え、リアサスペンションを車体左側のモノショック化するなど、多数に手が入っている。

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溫念祖が制作したドゥカティ・ストリートファイターV4SP2には、モトコルセ製のパーツを多数採用している。

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パフォーマンス系バイクの部門で最優秀賞を獲得したのは、このトライアンフ・スピードトリプル1200ベースのマシンだ。オーナー自身によるカスタムだが、KINEO製チューブレススポークホイールのほか、純正カーボンパーツなどを散りばめ、クリーンでミニマルに仕上げられている。

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台湾の桃園市にあるハーレーダビッドソン・ディーラー/哈書桃園が制作した車両。ストリート・ボブをベースに、随所にハンドメイドパーツを散りばめて仕上げられている。

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今回のSpeed and Craftには、日本からカスタムバイクビルダーやペインターが参加。彼らの作品を間近に見ることで、世界最高クラスのアイディアと技術を感じることができた。また台湾ビルダーを集めて、日本人ビルダーのトークショーも開催。彼らが何を考えて作品作りをしているかを台湾ビルダーと共有。それによって台湾カスタムシーンの底上げを行うこともSpeed and Craftの目的であるという。左からCustom Works ZONの吉澤雄一氏、CHERRY'S COMPANYの黒須嘉一郎氏、Rough Craftsのウィンストン・イェ氏、Luck Motorcycleの杉原雅之氏、46Worksの中嶋志朗氏、ペインター/Hopping Shower Sign paintのTETSU氏。

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