ヤマハ XJ400/D/SPECIAL(1980)

掲載日:2014年02月05日 絶版ミドルバイク    

文/柏 秀樹(柏 秀樹のライディングスクール『 KRS 』)

記事提供/ロードライダー編集部

※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『ミドルバイク流星群』を再編集したものです

YAMAHA XJ400/D/SPECIAL(1980)

ローアングルから背面ジェネレーターを採用したエンジンを中心に軽量スリム感をアピールした初期型。4本エキパイがエンジン下で1度集められての2本出しスタイル。初期型は前輪ディスクが穴なしだった。

ヤマハ初の4気筒400cc車となったXJ400は、発売と同時にベストセラーに。
DOHC4気筒というハイメカを時代が強く求めていた。

ヤマハ初ミドル4気筒

’80年代初頭といえば400ccクラスの多気筒化が一気に進み、国産メーカー4社から、秀作が出そろったことが特徴となる時期。

その筆頭はカワサキZ500FXと同時開発のZ400FX。Z400FXはデビューして以来、17カ月連続クラストップの販売を記録していたが、ヤマハが1980年6月にXJ400をリリース直後に、その首位の座はXJにシフトした。

Z400FXと同じく北米市場向けのXJ550(北米名SECA550)と同時開発のやや大柄な車体設定とDOHCというハイメカが人気の背景。後にスズキGSX400F、ホンダCBX400Fの登場により400ccの4気筒スポーツ車による人気伯仲状態が続いた。

各社は400cc4気筒モデルのほかに、並列2気筒モデルを用意したが、4スト車での多くの関心は4気筒モデルに集中した。憧れのナナハン4気筒に少しでも近い存在がほしかったのだ。

XJ400は当時からのヤマハのこだわりであった軽量スリムなバイク作りを地でいくものだった。例えばそれはACジェネレーターやセルモーターをシリンダー背後にレイアウトすることによって2気筒並みのエンジン幅を実現したことだった。

電子進角フルトランジスタ点火やSUキャブレターを採用して、扱いやすさとメンテナンスフリー化を意識しつつ、クラス最強の45馬力を発生した。マフラーは4-1-2のつなぎ方をした2本出しスタイル。

このエンジンは’83年にフルチェンジした水冷XJ400Zの基となり、後のFZ400Rにも受け継がれた高い性能を誇るものだった。

メーターパネルにはクラス初となる燃料計と電圧計を装備。ホーンもダブル式とするなど豪華な設定。シート高は785mmと、足着き性を重視したことも人気の要因となった。

’81年5月には燃焼効率を高めるYICSを採用してエンジンレスポンスと60km/h定地燃費を23%改善してリッター52kmから60kmとした。

このYICSとは、ヤマハ・インダクション・コントロール・システムの略。従来の吸気通路と別に副吸気通路を設け、混合気をジェット噴流化、シリンダー内に渦巻き(スワール)を発生させて燃焼効率をアップさせるメカニズムだった。この時期のヤマハ650・750ccのXJ系4気筒モデルにもそのYICSは採用されたが、ツインドーム式という燃焼室形状でスワール効果を狙ったスズキGSX系に対して、ヤマハは副吸気経路を斜めに配置することで渦流が生まれるタイプ。実際に乗って高回転域よりも低中速回転域でその効果があるように感じた。

’81年のマイナーチェンジでは、カラーリング変更とYICSを装備しただけではなく、シリンダーヘッドカバーとクランクケースカバーにYICSのロゴが入れられ、前輪ディスクは穴あきタイプへ変更。

また、ヤマハはXJ400をベースに、同年6月にXJ400DとXJ400スペシャルを追加。XJ400Dはタンクのデカールを変更し、マフラーエンドをクリフカットした4本マフラーを採用。そのマフラーは1-2、2-3、3-4で連結した、凝った4本出し。フロントサスはセミエアフォークをセットし、リヤサスにはダンパー調整可能なショックを装備。ミラーはめっきタイプの角形をセットし、ハロゲンヘッドライト装備のほかにエンジンもブラック塗装処理して、2万円アップの価格設定で大幅な高級感アップをアピール。

同時に登場したXJ400スペシャルは涙滴型燃料タンクのほかにエンジンをわずかにディチューン。ショートマフラーを採用。フレームはシートレールを足着き性向上のために変更。プルバックスタイルのハンドル、キング&クイーンと呼ぶ段差のあるシート、アルミ鋳造製のグラブバー、そしてリヤホイールのサイズ変更とRZ系と同じスパイラル形状へと変更したアメリカンだ。

この当時のアメリカンについてヤマハが「スペシャル」と称したのに対してホンダは「カスタム」、スズキは「L」、カワサキは「LTD」を使っていた。400ccパラ4のアメリカンこそ、日本のゆったり快適クルーズに適していたのではないかと今さらながら思う。

カタログは時代の証明。カタログで知る名車の系譜…

重厚で高級感満載のXJ400Dの存在感は今なお強い。400cc4気筒アメリカンの中でもXJ400 スペシャルは美しさで一歩リードしていた

背面ジェネレーターの採用をアピール。イメージスケッチは完成車よりトラッドな雰囲気。スポークホイール仕様の検討も当時らしい

このXJ400だけではなく主要モデルについて、当時のヤマハはカタログやPR誌「55mph」などで複雑なバイクの構造を詳細に見せるイラストを積極的に採用していたのだ。デュアルホーンに大型のウインカーランプが’70年代末期から’80年代初頭にかけての時代を表している。チューブレスタイヤ、ハロゲンヘッドライトの本格採用はこの頃からのことだった

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