『カスタムの真面目な話』

アドバンテージ流 Z系改造論 #09(クロスミッション編)

掲載日:2014年04月16日 タメになるショートコラム集カスタムの真面目な話    

Text/Noboru NAKANISHI ( ADVANTAGE )

前回に引き続き、Z系のミッションについてのお話です。ミッション自体の問題点は多々ありますが、けしてミッション自体が悪い物ではなく、むしろ今まで(40年も)よく耐えたなと思います。基本設計がしっかりしていたからでしょう。そして我々は、それを現在の使用環境に最も必要とされる設計にします。

前回挙げた問題点に対する解決方法を順番にご説明します。

②フロントスプロケットのナットの締め代が少ないため、スプロケットナットが緩み、結果的にスプラインが潰れてしまいます。結構そういった車両が多い事にも驚かされました。勿論、そんな状態になればスプロケットの脱落及び破損、チェーンの巻き込みによる重大な事故も想定されるので、対応は必須です。方法としては、当然新設計で十分な長さを確保し、しっかりトルクを掛けられるようにし、セルフロック付きのフランジナットへの交換も可能としました。

ナットの締め代に関する考え方は、加工形成して出来たドライブシャフトのネジ部分に関して言えば、少し飛び出して締結する事が推奨されているので面一(ツライチ)は避け、スプロケットナットを締め付けられるだけの十分な締め代を与えて設計する事が重要です。

③Z系のミッションは長年の使用により、構造上ドグの噛み合いが傷みのせいか、荷重が掛かると抜け易くなる物が多くなっています。ドグが変形したり削れたりと、ダメージが蓄積しているのです。この問題に対しては、ミッションのバックカット(アンダーカット)という方法もありますが、Z系統にあまり大きく角度をつけて設計するのは危険です。中古を再生する場合には痛んでいる部分を取り除きたいがために、過剰に角度をつけてしまったり、土台自体を痩せさせてしまったりと、本末転倒にも成りかねません。実際にその様な車両が当社に運ばれて来ますが、ミッションのドグ自体が取れたり欠けたりする物も少なくないのです。

また、Z1000J系のミッションを加工して使うとクロスミッションになる、というお話を耳にします。実際のところ2速から3速の間はJ系の方がやや近接していますが、3速4速間はZの方が近接しています。それらを流用するにはそれなりの加工と調整が必要となるので、ショップなどに装着を依頼する場合は相応の工賃が掛かり、トータルコストとしてはけして安くはありません。

結局、全てを設計・製作されたクロスミッションと比較するのは得策ではありませんね。では、続きは次回で。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索