『カスタムの真面目な話』

アドバンテージ流 Z系改造論 #07(クロスミッション編)

掲載日:2014年03月26日 タメになるショートコラム集カスタムの真面目な話    

Text/Noboru NAKANISHI ( ADVANTAGE )

Z系は登場から40年を超えて、消耗品以外のクランクケースやシリンダーヘッド、ミッションなど大物パーツの供給は限界に来ています。そんな背景から、我々が開発可能なパーツの中でミッションについてお話しましょう。

近年「ミッションがダメだよね」という声が多く寄せられるようになりました。そりゃあ40年という時間もそうですし、ボアアップカスタムやテイスト(T.O.T.)に出ているなど、その原因は様々です。

我々が目指すミッションは“クロスミッション”です。基本的な話になりますが、そもそもそういう形のミッションは実在しません。変速比の差が接近(クロスレシオ)しているトランスミッションの事を、通常クロスミッションと言います。しかしアドバンテージのミッションは、現在におけるZ系車両のネガティブな部分をクリアにするための“スペシャルミッション”です。ただ単に1速・2速・3速・4速の変速比が接近したミッションの事ではありません。

アドバンテージで用意したギア比は、ノーマルレシオのスペシャルミッションと、ストリート&ワインディング仕様のセミレーシングタイプ、それにフルクロス仕様です。これらにバックトルクリミッターを装着可能なパーツも一部生産したので、全部で5タイプのラインナップになります。将来的にはもう少しバリエーションを増やしても良いですね。

本来のクロスミッションは、パワーの伝達をスムースに行うことで速度到達を早くするための、純レース仕様です。さすがにそれをストリートで使用する事は出来ません。我々が作り上げたクロスミッションとは、レース向けではなくスタンダードを乗り易く、扱い易くし、今までのネガも解決可能な方法を取り入れたものです。

そもそもクロスミッションのメリットとは何でしょうか? “エンジンを効率良く使える”、“それぞれの速度領域でパワーバンドを使う事ができる”など、サーキットでエンジンをブン回して走るには最適かもしれません(Zとはエンジンや車体のキャラクターが大きく違いますが)。

では、デメリットは無いのでしょうか? 街乗りもするけど主目的がサーキットユースの場合、低速時や加速時にギア比を合わせるのが通常ですから、高速道路を巡航するシーンではギア比が高めになり、エンジンがうなりをあげてしまうでしょう。街中の通常走行では慌ただしくシフトチェンジを必要とします。こうなると全然楽しくありませんね。

だからこそアドバンテージが構築したクロスミッションは、最適な設計であると言えるのです。あまりクロスミッションという名前に拘らない方が良いと思いますが、より最適にすること、これこそがチューニングミッションですね。

次回はもう少しZ系のミッションのネガや製品についてお話しましょう。

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