『ツーリングのつぼ』

キャンプの水筒(2)

掲載日:2013年09月10日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

水道から水を出すには、ポンプを動かす電気が必要になる。日本のように蛇口から水が無尽蔵に出てくる国ではなく、いつ水が出るか分からない国にいると、誰かがシャワーを使っている音を聞いて「それ! 水が出るぞ!」と順番を争うことがある。それならば、電気を使わない井戸水の方が確実なことに気がつくだろう。

ちなみに、ポンプが必要という同じ理由から、停電になると自家発電装置のないガソリンスタンドは機能しない。また、プラスチックの水筒やガソリンタンクに穴があいたら、液体パッキンを塗っておけば、しばらく使うことができる。災害時の知識として知っておくと便利かもしれない。

さて、手動の井戸は世界共通、棒を上下にキーコキーコさせるポンプ式と、ロープを引っ張るつるべ式があって、どこの国でも近隣の井戸端会議場になっている。そんな所に、我が愛車を颯爽と横付けし、

「ボンジュール、マダム。水くださいな」

(西アフリカ諸国の公用語はフランス語。片方の鼻の穴を指で押さえてフランス語を発音すると、アメリカ人やイギリス人には大ウケするが、フランス人相手だと危険なので、必ず相手の国籍を確認してから行うように)

と、水をもらっていた。

井戸からの水を汲んでみて、そこで初めて気付いたことがある。それは、ドイツで買ったプラスチック製5リットル容量の水タンクの注ぎ口が、なぜ広げた手が入るほど大きいのか? ということだ。井戸からの水を水筒に入れようとすると、小さな注入口ではとても入れにくい。それどころか、ほとんどこぼれてしまうのだ。また、生水だとどうしても藻が湧いたりするので、それをスポンジで洗うのにも便利だった。水道から水を汲もうとしたら、蛇口や洗面台に水筒が干渉して水が入れられなかったり、蛇口のツマミがなくてプライヤーで栓を回したことのあるツアラーなら、実用という言葉の意味を分かってもらえるだろう。

ちなみに、アフリカで会ったキャンピングカー(ウニモグ改)の旅行者は、

「500リットルくらい水を積んでいるので、サハラ砂漠のど真ん中でシャワーが浴びられます。冷蔵庫もあるので、デッキチェアーに座って冷たいビールをプシューと開けて…」

と、卑怯なくらい水に困っていなかった。

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