『ツーリングのつぼ』

浄水器(3)

掲載日:2013年05月28日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

MSR の浄水器は南米のチリまで使っていたが、残念ながらそこで盗まれてしまった。こういうこともあろうかと、パーツの補給や休息のため、世界一周では時々先進国に立寄るルートを考えてあったのだ。そこで、南米のベネズエラからイギリスにバイクを空輸した。

ヨーロッパの水は日本とは異なり、成分にカルシウムやマグネシウムなどが多く含まれ、いわゆる硬水が多い。そのため水道水は飲料として適さず、それを加工したワインやビールが発達したと聞いたが、話をしてくれたのが酔っ払いだったので信憑性は低いかもしれない。

そのせいかどうか、確かにアルコールより水の方が高価な国は結構ある。

「いいか、良く聞け。ビールは1本1ドル、ただの水は1ドル半もする。男ならどちらを選ぶか決まっているだろう」

売店でそう言われた時、男として威厳を損なわずに水を買うには、いったいどうしたらいいのだろう?

炭酸水もよく売られている。わたしは苦手なので “ガスなし” と表示されている飲料水を買っていた。しかし、ガスなしと書かれたボトルでさえ、キャップを開けた時に「プシュ」と小さな炭酸の音をたてることがあった。ヨーロッパ人が炭酸好きなことは良く分かったし、それを否定することもないが、勝ち負けでいうと負けかもしれない。

ロシアなど旧共産圏の田舎に行くと、水道の配管がサビているのか、たいてい茶色の水が出た。洗濯物が鉄くさくなるほどだ。コップ1杯くらいだと分からないかもしれないが、バスタブにお湯を溜めると茶色が目立つ。そのため飲み水は、コッフェルなどにくみ置きをして、不純物を沈殿させて上澄みを煮沸していたが、面倒なので浄水器が欲しくなった。

そのためスイスに滞在中、KATADYN(カタダイン)製の浄水器を買った。MSR と構造は同じだが、ちょっと小さめの浄水器だった。これで次のアフリカ大陸も安心だろう。もしマラリアなどにかかった時、ポンピングをする気力が残っていれば、の話だが。

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