『ツーリングのつぼ』

浄水器(4)

掲載日:2013年06月04日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

ジブラルタル海峡をフェリーで渡ると、そこはアフリカ大陸だった。

サハラ砂漠のオアシスでは、水源=温泉のケースがある。そこがいくつもの水槽に分かれている場合、たいてい上から飲用、入浴用、家畜の水飲み用に使われている。もし、その場所を間違えても私のように笑われるだけなので心配はいらない。

水で困ったのはサハラではなく、カメルーンのジャングルだった。地図での距離は 200 キロくらいだったので燃料に問題はなかったが、そこを通過するのに4~5日かかったのだ。ギアを3速に入れることがないくらい、泥でぬかるんだ細い道が大部分だった。

そんな道路状況だからクルマは1日1台くらいしか通らず、家畜の移動路として使われていることの方が多かった。そのせいで水たまりは緑色に変色して異臭を放ち、そこを1日に何回も越えなければならなかった。さすがに、そんな水は飲めない。そのため、民家で水を分けてもらった。正確にはもらうというよりも、民家近くの川から汲ませてもらっていた。「ナイル川の水を飲んだ者はナイルに帰る」ということわざもあるが、アフリカの淡水には住血吸虫もワニもいるので、気を付けて水を汲んで欲しい。

そんな水を浄水器で濾過すると、あっという間にフィルターが詰まってしまう。ある時、いつものようにポンピングをした瞬間に、浄水器のフィルターカバーがパキンと音をたてて割れた。そこが割れると圧力が逃げてしまって使えなくなる。ちょっとでもポンプの動きが重く感じたらフィルターを掃除することが、浄水器を長持ちさせるポイントだ。

その後、浄水器を持たないままユーラシア大陸の旅を続けた。泥で濁った水でも煮沸消毒すれば “コーヒーの粉が少なくてすむ” くらいの心構えができれば、長旅の資質があると思っていた。インドに入って病気になるまでは…(バラナシで肝炎になった時が浄水器の出番のはずなのだが、すでに手元にないのが残念だった)。

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