『ツーリングのつぼ』

ツーリングに携帯する工具(1)

掲載日:2011年11月01日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

諸兄姉のバイクは存じ上げないが、私の XLR250R は所有者の意志に反して転倒をしたり、勝手にパンクをしたりする傾向にあった。未舗装路の岩や泥、または深砂やワダチなどのある変な所に好き好んで行く私の嗜好と運転技術の不足に要因があるかもしれないが、その状況は立ちゴケからトップギアで走行までだったので、これにより少なくとも、私はギアチェンジができることが証明されるであろう。

物が急に壊れることは転倒した時くらいで、それ以外の故障は整備で手を抜いた部分の気もする。そんな場合、ツーリング先では携帯工具が頼みの綱になる。チャチな工具に命を預けるのも心配だし、その逆に、あまりに本格的な工具を持って行っても、その工具の重さでバイクが壊れてしまう。誰もいない荒野で壊れたら、いくら大金を持っていても油をふくウエスくらいにしかならないのだ。

しばらく乗っていれば、振動で緩みやすいボルトは判断できると思う。それを締めるのに必要な工具に加えて、日帰りや数泊のツーリングなら、パンク修理と灯火類のバルブが交換できるくらいのパーツを持って行けば充分だろう。日本一周くらいでオイル交換とチェーン調節ができるくらい、世界一周でもキャブレターが分解できるくらいの工具で充分だ。

工具は重量があるので、なるべく車体の下の方に置きたい。できれば簡単に出し入れができて、水のかからない、盗まれにくい場所がベターだ。私はアンダーガードの前に、アルミでカギ付きの箱を作って工具を収納していた。

私のように修理に自信がないツアラーは、壊れる前のきちんと動いているうちに整備しておくのがポイントだ。日常では、一日を走り終えて晩飯を食べる前に、過酷な状況では昼飯時にも、エンジンオイルの量やドライブチェーンの張りぐあい、タイヤの空気圧などを確認すれば、走行不能になる深刻なトラブルは発生しないだろう。整備の神様は、きっとどこかから見ていらっしゃるに違いない。

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