『ツーリングのつぼ』

グローブ(1) 旅で使う革のグローブ

掲載日:2011年09月20日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

オートバイを公道で運転するには、法律でヘルメットの着用義務が定められている国は多い。ヘルメットが頭部を守るように、グローブは手のひら全体を保護している。しかし世界108カ国をツーリングしてみると、日本をはじめ、グローブの使用を強制する国はなかった。そんな悠長なことでいいのだろうか! グローブを着用せず転倒し、もし指を怪我したら微妙なクラッチワークや絶妙なブレーキングなどできるはずがないし、怪我をしていなくてもレバー操作が下手だと言われ続ける私は、グローブの選択が悪いのだろう。

世界一周ツーリングに持って行くグローブの条件は、赤道に近い所やジャングルでの蒸し暑さと、そして両極の近くや標高の高い所での寒さに対応できる構造をしていることと、少しくらいなら我慢できる精神力だろう。簡単に言うと、そんなにかさ張らないので、少なくとも夏用と冬用の2種類のグローブを持って行けということだ。

若さゆえだろう、そういった実用性を無視して、私は革のグローブを夏用にチョイスした。グリップスワニーというアウトドア用のグローブだ。アメリカ製なのでサイズが大きく、問題とすれば、いい大人がSサイズを選ぶ恥ずかしさをクリアしなくてはならない、ということかもしれない。

はじめの頃はしなやかで、ほんのりと革が香り、毎日手につけるのが楽しみだった。火のついた焚き木を持っても、革はナイロンのように溶けることはない。雨に塗れるとヌルヌル気持ち悪いのは、革を自分の手の形に合わせるのに必要な行為だと思い込みさえすれば我慢できるだろう。また、破れた革は水に濡れたタイミングで縫うと、乾いている時よりも縫いやすいのも発見した。しかし炎天下でも雨の日でもほぼ毎日つけていたため、1年も過ぎるとミンクオイルを塗っても脂っ気が抜けてミイラのようにひび割れてきてしまった。たいてい動かす頻度の高いクラッチ側から素材が薄くなり、縫う場所がなくなったら交換時だろう。

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