『ツーリングのつぼ』

ヘルメット(2) 開放感のあるジェッペル

掲載日:2011年09月13日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

大陸規模のツーリングでは極端に寒い所(アラスカや北欧など)から暑い所(サハラ砂漠やジャングル)、そして高速走行(速度無制限のアウトバーンなど)までもあり、ひとつのヘルメットでいつも快適に過ごすのは無理なので、足りないところは気合いで乗り越えて欲しい。太陽熱を少しでも反射するように、白系のカラーをお薦めする。集落があるごとに立ち寄り、ヘルメットを水に濡らして走ったイランの酷暑がDNAに刻み込まれているからだ。

サハラ砂漠では気温 50℃ を越えていたが、そこは乾燥していたのでガマンもできた。しかし本当の敵は湿度だった。アジアまで来たら雨期の蒸し暑さに耐えきれず、タイでジェットヘルメットに買い替えた。実はこの時はじめて “ジェッペル” をかぶったのだ。そのアゴが守られていないという不安感は、すぐ開放感と軽さという長所によりどこかに追いやられた。

そしてベトナムの田舎を走行中のこと。あたりには水田が広がり、すげ笠をかぶったオッサンが水牛を操って水田を耕している。ジェッペルは風の音もエンジンの音も良く聞こえる。「ああ、のどかだなぁ」と走っていて、気がついたら路面を滑っていた。バイクの左右にはアルミパニアがあったので、ステップに足を乗せたままだと怪我をせずに済む。何の前触れもなく転倒したので、両手はグリップを握ったままだったのも幸いした。起き上がってからチェックすると、フロントタイヤがパンクをしていた。太いクギが刺さって一気に空気が抜けたようだ。

ヘルメットには側面とシールドには大きな擦り傷があったものの、割れたりはしていない。6速ギアで走行中に転倒しても、思ったよりシールドは丈夫なようだ。この経験により「ツーリングレベルなら、リッターパイクでもジェッペルで充分」と考えるようになった。それが JIS 規格を通っていれば、もし怪我をしても後悔はないだろう。

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