『ウェア屋さんのひとりごと』

たまには洗おう、レインウェア

掲載日:2013年06月13日 タメになるショートコラム集ウェア屋さんのひとりごと    

Text/Junichi FUJIMOTO ( RS TAICHI )

大分県のオートポリスサーキットで全日本ロードレース選手権が開催される直前の5月27日、九州全域と中四国地方の梅雨入りが発表されましたね。レースは梅雨らしく、土日ともに雨天での開催となりましたが、その後は皆さんもご存じの通り、「梅雨入りなんてウソやろ!?」と思ってしまう様な天候が続いてますね。とは言え最近の雨は “シトシト、ダラダラ” と降るのではなく、バケツをひっくり返した様な豪雨に遭遇する事が多く、晴れていても「今日は大丈夫やろ」と油断していると、とんでもない目に遭うかも知れません。そんな時のためにも、お手持ちのレインウェアをいま一度チェックしておきませんか? チェックの仕方については昨年の今頃に 『レインウェアは事前のチェックを怠りなく』でお話ししていますよ。

さて、今回はどちらかと言うと “使用後” についてのお話しですが、皆さんは使い終わったレインウェアを洗う頻度って、どれくらいのものでしょう? 滅多に使わないし、ジャケット等の上から重ね着するから大して汚れていないので「洗ったことは無い」という方も多いのでは? ただ、良く考えてみてください。雨天走行後の車体を見れば、舗装路のみの走行でもドロドロになっている事が多いと思いますが、レインウェアにも同程度の汚れが付着していると考えれば、“そのまんま乾かしてオシマイ” という訳にはいきませんよね。

水滴と一緒に付着する汚れの中には、生地や裏面に施したコーティングにとって害になる酸等の成分も含まれているので、放っておくとレインウェアの劣化を早めてしまう原因となります。また、表面に汚れが付着したままでは、ゴアテックスやドライマスターのレインウェアだとせっかくの透湿機能をスポイルするため、気付かないうちに蒸れやすいレインウェアへと様変わりしていく事になってしまいます。

洗濯の方法は家庭用中性洗剤を使用した手洗いが原則ですが、時間も無いので “取り敢えず表地だけ” を洗う場合は厚みのあるハンガーに掛け、洗剤を付けた台所用スポンジ(筆者得意の)でゴシゴシした後、水で洗い流すという方法も良いでしょう。丸洗いした場合は中と外の両方を乾燥させないとダメなので、この様な方法があることを知っておくと便利です。洗った後の “絞り” や “脱水機” は禁物なので、乾いたタオルで全体の粗水を拭き取り、風通しの良い日陰でしっかり乾燥させてください。扇風機の自然風を当てておけば乾燥も早く、臭いの発生を抑えることもできます。

こういったお手入れ、少し面倒に感じるかもしれませんが、実際に水漏れ等の修理でお預かりする製品の中には、適切とは言えない保管や扱いが原因で劣化を早めたと思われるものが見受けられます。レインウェアだけでなく、清潔さを保つことによって快適に、そして大切なウェアを長持ちさせることにも繋がっていくことも多いので、毎回とは言いませんが「たまには洗ってやるか」といった感じで、お手入れしてみてはいかがでしょう。

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