『ウェア屋さんのひとりごと』

シールドのメンテナンスもぬかりなく

掲載日:2012年11月29日 タメになるショートコラム集ウェア屋さんのひとりごと    

Text/Junichi FUJIMOTO ( RS TAICHI )

ライディングウェアの “冬支度” はお済みですか? 寒さでこわばった体ではスムーズなライディングができないばかりか、いざという時にとっさの動きができず、事故へとつながる可能性もあります。快適性だけではなく、安全運転のためにも防寒対策はシッカリ行ってくださいね。そしてもうひとつ、安全運転に大切な “クリアな視界の確保” として、シールドのメンテナンスがあります。ライディング開始早々、「フッ」と息を吐いた瞬間に目の前が “真っ白” では安全運転など、できる筈もありませんよね。

曇り止めの対策として多くの方が愛用されている “くもり止め” ですが、これもただ塗ればイイというものではありません。大切なのは、油分等の汚れをこまめに落としておくことで、通勤や通学等、毎日の様に使用する方は週1回程度、水洗いをしておきましょう。その上で曇り止めや表面の撥水剤等を塗布するのですが、事前の洗浄を怠ると、油分等の影響でせっかくの効果を十分に発揮することができません。食器用洗剤や手洗いせっけんを使用し、2~3枚に重ねたティッシュで優しく水洗いすれば、表面に傷を付ける事も無く、油分や虫の死骸等を取り除くことができます。あまりゴシゴシやりすぎると、いくらハードコートを施しているシールドでも、細かい傷を付けてしまう事になるので、あくまでも “優しく” が基本。ケミカルの塗布はティッシュ等でも問題ありませんが、拭き取りは慎重に行わないと、表面に細かい傷を付けてしまう可能性があります。ここでは “メガネ拭き” に代表される、樹脂に優しいクロスを使用して丁寧に拭き取ります。まあ、緊急用でティッシュを使用するのはやむを得ないと思いますが、シールド用に1枚、こういったクロスを持っておくことをお勧めします。あ、私もですが、“メガネライダー” の方はメガネの対策もお忘れなく。

また、個人的に7~8年前から愛用していて、ここ最近で急激に広まってきたピンロックシートの効果は絶大です。装着には専用のシールドが必要で、シート自体も 3,000 円前後と少し “お高く” 感じるかも知れませんが、少なくともそのシーズン一杯は曇り止め処理の手間から解放されることを思えば、決して高い投資では無いと思います。出始めの頃はシートの位置と視線が合わず「う~ん」と思う事もありましたが、今ではピンロックシートが付いていることに気付かないほど、アイポートの形状ピッタリにできているシートもあり、グランプリライダーでさえ普段から装着するケースが増えているほど、その信頼性は高まっています。少し気になるのは、レンズが2枚重ねになるので、夜間の走行時に前走車のテールランプや周囲の照明が2重に見えてしまう場合があります。実際のライディングには影響の無いレベルだと思いますが、もし「危ないな」と思ったらすぐにシートを外し、無理に走り続けることは避けましょう。

私も “視界の悪さ” 故に大切なレースを台無しにした事もありますが、一般道ではサーキット以上に複数の危険が潜んでいます。走行中に周囲の状況を正確かつ迅速に判断するためにもシールドは常にクリーンに、曇り対策もぬかりなく、安全運転を心がけていただきたいものです。

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