『ウェア屋さんのひとりごと』

ウインターグローブの防寒性って

掲載日:2012年02月23日 タメになるショートコラム集ウェア屋さんのひとりごと    

Text/Junichi FUJIMOTO ( RS TAICHI )

私が住んでいる大阪は小雪がチラつく程度ですが、各地のニュースを見ていると激しい降雪の影響で、交通事故や交通機関の麻痺といった情報が絶えず伝えられています。雪が無くても今の時期は路面温度が非常に低く、タイヤのグリップが得られにくい状況にあるのはもちろんですが、多少なり身体も硬くなり、ライディング自体も “ぎこちなく” なってしまいがち。そんな時は少し寒さが和らぐのを待って、愛機のメンテナンスをしながら来るべきシーズンに備えるのもイイと思いませんか。

さて、そんな極寒のある日、私が京都のショップに勤務していた時のこと(10年ほど前でしょうか)。ひとりのお客さんが店内に入ってくるや否や「このウインターグローブ、高かった割に全然暖かくない」とおっしゃられるので状況をお聞きしたところ、CB1300 で名神高速を約1時間半ほど走行されたとのこと。メーカーや価格等は覚えていませんが、その方からすると高額なウインターグローブで防寒対策はカンペキと思っていたら、高速に乗って30分そこそこで指先が冷たくなり始め、その後はとにかく我慢。「高いグローブを買ったのにナゼ?」というお気持ちは十分に理解できるものでした。

結果的には自分の経験談等もを交えながら、当時の気温で高速を1時間以上もカウルの無い車両で走行すれば、ある程度は仕方の無いこと。価格に関しては、防寒機能以外に操作性の良さやプロテクション、防水/透湿等、総合的な機能によっても異なるといったお話をしていくうちに「なるほどねぇ」と、ご納得いただくことができました。

グローブに限らず防寒性を高めるためには、外気を遮断するデッドエアーと呼ばれる空間を、中綿等によってできるだけ多く確保することが大切です。ただ、多彩な重ね着によって防寒性を調整しやすい身頃に比べ、指先にはブレーキやクラッチ、ウインカー操作等の繊細な操作を要求されるため、確保できる空間には限りがあり、結果として寒気の伝わりがジャケットに比べて早いと言わざるを得ないのが現状です。個人的には外気温が5度程度、30分前後の走行で極端な冷たさを感じなければ及第点で、それ以後も走行し続けるのであれば、こまめな休憩で指先を温める様にしています。まあ、色々な製品をテストをしてみると10分も持たない「なんじゃこりゃ?」なモノもあるので…。また、インナーグローブもイイモノを使えば確実に防寒性はアップしますので、ショップの方や周りの方に聞いてみるなどして、自身に合ったアイテムを探してみてください。

さらに完璧を求めれば、グリップヒーターやハンドルカバーといったアイテムは以前から “最強の定番” として知られていますし、今年の冬にブレイク(?)した、電熱線等のヒーターを内蔵しているグローブを使用すれば、殆どの方は指先の冷たさから解放されるので、今後はますます広まっていくでしょうね。

春も近い今の時期にこのお話は遅い感もありますが、今後ウインターグローブを購入される機会がありましたらこのお話を思い出していただき、少しでもグローブ選びの参考になればイイなと思います。

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