『ウェア屋さんのひとりごと』

夏と言えば汗対策!のつづき

掲載日:2011年07月28日 タメになるショートコラム集ウェア屋さんのひとりごと    

Text/Junichi FUJIMOTO ( RS TAICHI )

前回はライディングウェアを使用した直後にやっておいた方が良い、簡単なメンテナンスについてお話をしましたね。今回はその中でもさらにもう一歩、やるとやらないではその後のコンディションに大きな違いが生じる “レザーウェア” のメンテナンスについてお話しをしてみましょう。

内装を取り外すことができるウェアは、使用後に取り外して別々に乾燥させるか洗濯するのが良い、というのは前回にお話しましたが、そうでないウェアはできるだけペタンとさせず、膨らませる様にして内部の通気を良くしておけば問題ありません。さて、肝心な革の状態はどうでしょう? たっぷり汗をかいた後なら、脇の下、シートの座面に当たるお尻、タンクに当たる内股や太ももの裏などに汗が溜まりやすく、そのまま乾燥させてしまうのはよろしくありません。また、袖口やパンツの裾付近はグローブやブーツが重なると汗が溜まりやすいので、大切なメンテナンスのポイントとして覚えておきましょう。

実際のお手入れですが、まずは絞った濡れタオルを使用し、表面に付着した排気ガスやほこり等の汚れを軽く拭き取ります。通常ならこの後、風通しの良い所で厚めのハンガーに掛けておけば良いのですが、汗を含んでいる状態であれば、ミンクオイルに代表される保革オイルを薄く塗っておきましょう。あくまでも “薄~く” がポイントです。

グローブやブーツも同様ですが、グローブはジャケット等と比べて革も薄いため、ごく少量に留めておきましょう。特に手の平に塗りすぎると、次に使用する際にも表面にオイルが残っている場合もあるため、目安として “塗ったか塗ってないか分からない程度” で充分ですが、こんな説明で分かります?

ひと通り終われば、全体に撥水スプレーを軽く吹き付けておくのがお勧めです。実際の走行で “撥水” という効果はあまり期待できませんが、汚れが付着しにくくする効果があり(防汚効果)、できればやっておきたい作業です。後は風通しの良い所で自然乾燥させますが、焦ってドライヤー等の熱風に当てるのは禁物。水分を含んだ皮革は熱に弱く、本来の強度やしなやかさが損なわれてしまうため、あくまでも常温付近での乾燥を心がけましょう。

さて、これらのメンテナンスを怠ったレザーウェアは、いったいどの様になってしまうのでしょう? まず、革は次第に硬化していき、気が付いた時にはゴワゴワのレザーウェアへと変貌を遂げてしまう可能性があります。また乾燥せずに放置した場合、湿度の高い時期だとカビの発生も考えられ、こうなると “時すでに遅し” で、元のコンディションに戻すことはほぼ不可能。快適にライディングし、万一の際には自分の体を守ってくれる筈のライディングウェアが、こんな悲しい状態にならない様、大切にメンテナンスしてきたいものですね。もっと深~いお手入れの方法についてはまたの機会に。

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