『バイク乗りの勘所』

運転者の心理を考えた規制を

掲載日:2014年06月16日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

緩急各種のカーブと長短さまざまな直線が延々と連なる田舎道。なぜかセンターラインはずっと黄色のまま…。郊外をツーリング中によく出くわす光景だ。とくに飛ばしているわけではなくても、やがて前車に追いつく。そのとき、まるでセンターラインのことなど眼中にないのでは…と思うほど、間髪を入れずに前車を抜き去っていくライダーもいる。かと思えば、まるでそうするのが当たり前のように、延々と後ろに従って走り続けるライダーもいる。

で、オマエは? と聞かれると、両者の中間と言うしかない。瞬時に抜き去ることはない代わり、延々と従うほど気は長くない。虎視眈々とチャンスをうかがい、やがて前に出る。チャンスとは、道が左側に広がっていたり、前車とセンターラインの間の隙間が大きくなった瞬間である。黄色のセンターラインを越えることは(絶対に、とは言えないが)ない。だが、瞬時に抜き去るのと比べて、自分のほうが安全だとは思えない。むしろ逆の例が多そうだ。

にもかかわらず、私が黄色のセンターラインを(なるべく)越えないようにしているのは、道交法違反で捕まりたくない気持ちが4割、前車のドライバーに悪印象を与えたくない気持ちが6割といったところである。だが、最近、考えを改めつつある。抜かれる側の心理としては、自車の直後を走られたり、両脇の狭い隙間に入って来られるよりも、堂々と黄色のセンターラインを超え、さっさと前に出てくれるほうが安心なのではないかと思ったからだ。

まだ自分が実践するには至らず、違反を推奨するつもりもないが、そもそもこんなことは、合理的な交通規制が実施されていれば悩まずに済む問題だ。似たようなことは以前にも書いたが、イライラをつのらせるだけの“連続規制”や、オートバイに対してクルマと同じ規制を強いている現状を改め、動力性能にも運転者のスキルにも大差のある車両が、お互い、安全・安心で、無駄な心理的負担を強いられない交通規制を実施してもらいたいものである。

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