『バイク乗りの勘所』

ウエルカムライダーズおがの

掲載日:2014年05月26日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

タイヤメーカーの イベント に参加するために、埼玉県の小鹿野町に行ってきた。県西部の秩父市の西隣、群馬県と境を接する山あいの町だ。東京方面からだと関越道の花園から国道140号、関西・中京方面からだと甲府あたりから国道140号で山越えというのが素直な行き方だろうか。小鹿野町といえば、かつて、バイクの森と呼ばれる施設があり、数百台のバイクを展示するミュージアムがあったのだが、残念ながら現在は休館中で復旧の見通しはない。

だが、バイクの森はなくなっても、小鹿野町はバイクの町である。町おこしの一環として“ウエルカムライダーズおがの”の名のもとに、バイクでやって来たお客さんにフレンドリーな町づくりを目指し、施設や環境の整備に努めているからだ。“ウエルカムライダーズおがの”会員店には、町内の飲食店、物販店、温泉や宿泊施設をはじめ、近隣のバイク関連企業が名を連ねており、バイクで訪れたお客さんにはさまざまな特典が用意されている。

小鹿野の名物は、何といっても蕎麦と温泉。そして、走って楽しい道と、それを取り巻く景色である。聞くところによると、小鹿野の蕎麦には、もともと米作には適さない環境に暮らす人々が、米の代わりに主食として栽培し、調理し、永く食べ続けてきた歴史があるらしい。そういえば、私がイベント前夜に泊まった温泉旅館の夕食にも、白飯の代わりにざる蕎麦が出てきたし、帰路に寄った道の駅の飲食店にも、蕎麦を使ったメニューがたくさんあった。

温泉に浸かり、野菜や山菜をふんだんに使った料理に舌鼓を打ち、バイク乗りにフレンドリーな地元の人たちと美しい景色の中でくつろぐというのが、小鹿野ツーリングの真髄だろう。しかし、温泉や食べ物を抜きにして、ただ走るだけでも、雁坂峠の両側にあるループ橋や、群馬県神流町から小鹿野町に入る西上州やまびこ街道(国道299号)の志賀坂など、変化に富んだ快走路に満ちている。これから夏にかけてのツーリングに、ぜひおすすめしたい。

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