『バイク乗りの勘所』

事故るまでは、誰もが無事故

掲載日:2014年04月21日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

わたくしごとで恐縮だが、今年になって、ウチの2人の娘のうち、姉が普通二輪免許をとり、50ccスクーターから250ccバイクにステップアップ。妹が50ccスクーターに乗り始めた。仕事がらというか趣味がらというか、とにかく、彼女らには、ことあるごとにいろんな説教をしている。その中で、われながら名文句だと思ったのは“誰でも、コケるまでは無転倒、事故るまでは無事故、トラブるまではノントラブル”というフレーズだ。

私が言いたかったのは、要するに、今日まで無転倒、無事故、ノントラブルだったからといって、明日も無転倒、無事故、ノントラブルだという保証はどこにもないのだから、“明日は我が身”かもしれない…と、日々、気持ちを引き締めろということである。よく見聞きする“○年間無事故無違反”などというのは単なるラッキーであって、10年間無事故のライダーと昨日事故ったライダーの、明日事故る確率に差があるとは思えない。

いや、ひょっとすると、昨日(ではなくても、最近)事故ったライダーのほうが、記憶が鮮明な分だけ、次の事故を回避しようとする意識が強く働き、安全運転に務めるかもしれない。だからといって、“良い経験”だとか“一度は経験しておけ”などと言うつもりは毛頭なく、一生無事故で過ごせれば、それに越したことはないのだが、不幸にして事故ってしまった経験者には、“災い転じて福となす”べく、経験を生かしてもらいたい。

免許証番号の3~4桁目が76の私は、免許をとって38年。昔はそうでもなかったのに、ここ数年は、日々、運転を終えるごとに、“ああ、今日も運よく無事だった”と、幸運に感謝している。それとともに、もしも今日、事故っていたとすれば、何時ごろ、どこを走っていたときか…と、最もヤバかったシーンを思い出し、事故っていたらどうなっていただろう…と想像している。安全の大敵である慢心を、少しでも抑えようというわけだ。

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