『バイク乗りの勘所』

優先車妨害をしていないか

掲載日:2014年01月20日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

バイクやクルマで道を走っていて“バカヤロー!”と怒鳴りたくなることは多い。その中で特に腹立たしいのは、こっちが譲ってくれるだろうと思って、または、こっちが譲らざるをえないような運転を平気でするヤツだ。譲らなければ事故になるから、仕方なく譲る。その脇を、何食わぬ顔で、またはヘラヘラ笑いながら、ときにはヘコヘコ頭を下げながら通過していく相手に向かって、ホーンを鳴らしたり、中指を突き立てたりするが、こっちの怒りの“原因”までは伝わらない。

上に書いたケースと怒りの程度は異なるものの、こっちが譲るべき場面だから譲っているのに、さっさと進まず、譲る必要がないのに譲ってくれるヤツ。これもまたイラッとくる。イラッとくるのは何とかやり過ごせても、続いて強いられる“我慢”は許しがたい。なぜ我慢が必要なのか。それは、こっちが譲るべき場面である以上、例え相手が譲ってくれても、それに従うのは優先車妨害になるからだ。ここで“はい、ありがとう”と進んだら最後、自分も相手と同類になってしまう。

こうした事例が多いのは、右折対右折の場合。右折しようとして交差点にさしかかり、自分が入って行こうとしている道路から右折車が出てきたときだ。信号機などによる交通整理が行われていない交差点での優先・劣後関係は事細かに規定されており、どちらが譲るべきか、本来は迷う余地などないはずだ。ちなみに、規定の中には“左側から来る車両の通行を妨げてはいけない”というのもある。にもかかわらず、さも当然といった感じで、右側から出てくるクルマの多いこと!

譲り合いとは、本来、法令の規定だけでは優先・劣後関係を決められない場合の最後の解決手段であるはずだ。にもかかわらず、公安委員会が行っている講習などで“譲り合い”を強調するあまり、法令による規定に無知あるいは無視する運転者を増やしているのではないだろうか。譲り合いに関して自分とは考えの異なる運転者が存在することを忘れず、自分が譲るべき場面では例え相手が譲ってくれても先に進まない。この2点に留意した安全運転を心がけたい。

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