『バイク乗りの勘所』

メカノイズを傾聴せよ

掲載日:2013年10月21日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

私は吸排気音のウルサいバイクが嫌いである。いや、そもそも、バイクに限らず、世間一般で“騒音”と呼ばれる類の音に神経質かつ敵対心を抱いていると言ったほうがいいかもしれない。日ごろ、田舎の静かな環境で生活し、その環境を大切にしたいと思っているから…というのがひとつの理由。そして、バイクに関しては、もうひとつ理由がある。吸排気音がウルサいと、本来聞こえるべきメカノイズが埋もれてしまうだけでなく、それを聞こうとする集中力まで削がれるからだ。

で、もともと静かなバイクなら、何かトラブルがあったとき、いつもとは違うノイズが聞こえたり、いつものノイズの音量が大きくなったりしたのに気づきやすいし、トラブルのないときの正常なメカノイズをBGM的に楽しみながら走れたりもする。が、これについては、フルフェイスよりもジェットヘルのほうが、よりクリアに聞こえて好ましい。そして、ノーヘルを推奨するわけではないが、エンジンを始動してからヘルメットをかぶるようにすれば、異音にも気づきやすいはず。

さらにはっきりメカノイズを聞きたければ、ロングブレードのドライバー(軸長30cm程度のが使いやすい)のグリップを耳に当てながら、先端でバイクのいろんな箇所を触れてみるといい。最初にこれを試したとき、どこかが壊れたんじゃないかと思うほど、いろんなノイズがはっきり聞こえて驚いたものだ。空冷2バルブのエンジンなら、どのバルブのクリアランスが大きいか…くらいのことまで聴診可能である。ただ、アイドリング状態でのみ使える方法なのは言うまでもない。

耳で聞く代わりに、皮膚で振動を感じる方法もある。このためには、薄手のグローブ、底が薄めの靴などと合わせて、硬めのハンドルグリップ、厚すぎないステップのゴムといった組み合わせが適しているが、まあ、そこまでこだわらなくても、たまには素手で乗ってみたり、アイドリング時にいろんなところを触ってみるといい。一度だけでは何もわからなくても、何度もやっていれば、振動が大きくなったり、いつもと違うのに気づけば、トラブルの早期発見に役立つはずだ。

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