『バイク乗りの勘所』

リターンライダーの皆さんへ

掲載日:2013年06月03日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

レプリカブームの頃、アナタは今より若かった。周りのクルマのドライバーも今よりうんと若かった。40 代で普通免許を取りに教習所に通ったウチの母は、ほとんどが 10~20 代の教習生の中で、群を抜いて高齢だった。ところが今や、70 代なんてのは当たり前で、80 代のドライバーも珍しくない。大型バイクユーザーの高齢化は、バイク乗りが集まる場所に出かければすぐにわかるが、我々を取り巻く一般ドライバーもまた我々と同様かそれ以上に高齢化しているのである。

だから、道が良くなり、クルマの性能も向上している一方で、平均的に見たドライバーの能力は低下していると考えて良い。運転に必要な “認知~判断~操作” の3つのうち、特に “認知” 能力の低下が著しく、次が “判断” である。しかし “操作” 能力はそれほど低下していないので、本人は何も気づいていないことが多い。そして、もうひとつの特徴は、傍若無人であること。これまた、反抗心からくる若者の傍若無人とは違い、何も考えていない結果の現われといえる。

10 年以上の期間を経て、再び大型バイクのライダーとしてリターンする場合は “昔のバイク+昔の自分” の組み合わせと “今のバイク+今の自分” の組み合わせの違いについて熟慮するとともに “昔の道路状況” と “今の道路状況”(特に、自分を取り巻く他車のドライバー)の違いについても充分に認識すべきだ。昔なら事故の原因になどなるはずのなかった些細なことが、今では事故の原因になり、自分だけでなく相手にも大きなダメージを与えるケースが増えている。

乗っているバイクの高性能化により、昔はできなかった走りができるようになったと感じている人は多いと思う。で、アナタ自身には高齢化による能力の衰えがまったくなかったと仮定しても、その “昔はできなかった走り” を試すのは、できればサーキット、最低でも周りにクルマのいないところでしていただきたい。みんなが若かった時代とは違い、言い方は悪いが “何をするかわからない年寄り” が増えている。その一員にならず、その餌食にもならないでいただきたい。

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