
掲載日:2013年05月20日 タメになるショートコラム集 › バイク乗りの勘所
Text/Nobuya YOSHIMURA
タイヤメーカーのイベントに、足まわりセッティングのアドバイザーとして参加するようになって、今年で3シーズン目。イベント当日は、1日平均10数人のお客さんから相談を受けたり、彼らのバイクを点検したりしている。そこで気になるのは、このコラムに何度か書いたプリロードのかかりすぎと、もうひとつ、ドライブチェーンの張りすぎである。過去に “チェーンのメンテを怠るな” と題して、4回連続でこのコラムに書いた中で、遊びの調整についても触れてはいる。
しかし、これほど張りすぎが多いと、何度も繰り返して書きたくなる。ドライブチェーンの張りすぎは、“百害あって一利なし” である。なのに、なぜ張りすぎてしまうのか、その理由はよくわからない。だらんとたるんでいるのを嫌う几帳面な人が多いのかとも考えたが、そのくせスロットルの遊びが大きすぎるのには無頓着だったりするから、どうやらそうではなさそうだ。ひょっとすると、私が見て “張りすぎ” と思うくらいが、彼らの考える “適正な遊び” なのかもしれない。
通常のスイングアームを持ったチェーンドライブのバイクでは、リアショックがある程度沈んだところで(正確には前後スプロケット中心とスイングアームピボットの3点が一直線上に並んだときに)ドライブスプロケット~ドリブンスプロケット間の距離が最大になるから、その状態でチェーンの遊びがゼロだとマズいのだ。遊びがゼロ=張りすぎのまま走ると、駆動抵抗の増加、チェーンの伸びや切れ、リアショックの作動不良など、多くの深刻なトラブルを起こしやすい。
乱暴な言い方をすると、サイドスタンドで止めた(リアショックが伸びた)マシンを横から見て、チェーンがまっすぐに(ピンと張ったように)見えれば、張りすぎの疑い濃厚である。押して歩いているのを横から見て、チェーンの中央部が上下にプルプル震えるような動きをしていれば、それも同様。本来はリアショックを外し、最も張る位置で遊びがゼロにならないように調整すべきだが、シート後端に人を乗せた状態で点検すれば、張り気味なのかどうかの見当はつけやすい。
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